支援物資で借金返済、困窮する北朝鮮の水害被災者

支援物資で借金返済、困窮する北朝鮮の水害被災者

黄海南道の被災地を訪れた金正恩氏(2020年8月28日付朝鮮中央通信より)

韓国気象庁によると、台風8号(バービー)は27日午前6時前、黄海南道(ファンヘナムド)の甕津(オンジン)半島に上陸、北朝鮮西海岸沿いに北上したが、北朝鮮の国営朝鮮中央テレビは上陸前の26日午前から24時間以上放送を続け、台風情報を伝えた。通常の放送時間が午後3時から午後10時までであることを考えると、異例の対応だ。

台風が接近するまで朝鮮中央テレビが集中的に伝えていたのは、梅雨前線の影響で大雨が降り、水害による被害を受けた黄海北道(ファンヘプクト)銀波(ウンパ)郡の復旧状況だった。金正恩党委員長は、外部からの支援受け入れについては否定的な姿勢を示す一方で、被災地に支援物資を送るなど、並々ならぬ関心を見せている。

ところがそれでも、被災者は食べるものがなく困っているという。黄海北道のデイリーNK内部情報筋は26日、穀物を積んだトラックは9日に銀波郡に到着し、被災者に配給されたが、それから1ヶ月も経っていないのに困窮する人が現れていると伝えた。

その理由は「借金返済」だ。

北朝鮮の農民の多くは毎年春、トンジュ(金主、新興富裕層)から、秋の収穫後に利子を付けて返す条件で、穀物を借りる。ところが、悪天候や経済制裁による資材不足などで凶作が毎年続き、返済に息詰まる事例が続出していると伝えられている。

国からの支援物資を受け取った農民は、これ幸いと借金返済に使ってしまったため、米びつがあっという間にすっからかんになったというわけだ。普段からまともに食事にありつけていない被災者の多くが、今回の支援食糧を粥にして食べたり、コメがなくなりトウモロコシを食べたりしているとのことだ。

被災者は住宅再建事業に動員されているが、ろくろく食べられていないので、出るのは力ではなくため息ばかりだという。

長年続く経済的苦境に水害の被害まで加わってさらに先が見えなくなり、政府への反発の声も高まっている。

食糧は10日10日の朝鮮労働党創建75周年の日まで食いつなげということで与えられたが、それだけでは耐えられず、追加の支援もないとのことで、「いかに生きていくか心配でいっぱいだ」との声が聞こえるという。

また、支給されたもののうち歯ブラシ、歯磨き粉、石けんなど小さいものだけが北朝鮮製で、寝具類、キッチン用品などほとんどが中国製であることも被災者を失望させているという。

「なぜわが国(北朝鮮)はこんなつまらないものですら自国で生産できないのか」
「一体この国は朝鮮なのか、それとも中国の一部なのか」(被災者の声)

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