北向けラジオ存続の危機 深刻な資金不足で支援呼びかけ

北向けラジオ存続の危機 深刻な資金不足で支援呼びかけ

資金不足による北朝鮮向けラジオ放送休止の可能性などについて説明する特定失踪者問題調査会の荒木和博代表と村尾建兒副代表=26日午後、東京都内

 北朝鮮による拉致問題を調べ、拉致被害者らに向けたラジオ放送「しおかぜ」を運営する特定失踪者問題調査会が、資金不足で活動困難となる見通しであることが26日、分かった。新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化する中、拉致事件の調査やラジオの製作・放送を支える寄付金が今年に入り激減。8月にも活動休止を余儀なくされる恐れがある。

 調査会によるとラジオの運営には年間2千万円以上が必要。日本政府も運営を支援し、放送実績に応じて業務委託費を支払っているが、1千万円以上の運営費が独自に必要だ。今年に入り大口寄付が打ち切られ、総額も激減し、ラジオ存続が危ぶまれている。

 調査会は拉致の調査や集会をはじめとする啓発を絞りこむなどしているが資金が底をつけば、調査会の活動全体が止まる。26日に東京都内で記者会見した荒木和博代表は「拉致被害者が救いを待つ中、知恵を絞り、はってでも活動を続ける」と支援を呼びかけた。

 北朝鮮当局は放送開始翌年の平成18年から執拗(しつよう)な電波妨害を実施。調査会が昨年4月に周波数を5枠に増やし、同じ時間に2波で一斉放送する多チャンネル化を始めると、2波両方への妨害を開始した。

 深刻な電力不足の北朝鮮には大量の電力が必要な電波妨害は大きな負担とされ、放送を担当する調査会の村尾建兒(たつる)副代表は「金正恩(キム・ジョンウン)政権が情報流入を恐れている証拠。コロナ問題で人の動きが限られる今こそ、空間を飛び越えるラジオ放送は国内外問わず意義を持つはずだ」と訴える。

 ラジオは家族から被害者へのメッセージや、朝鮮半島情勢を伝えるニュースをなど日本語、朝鮮語、英語、中国語で放送。北朝鮮向けの短波・中波放送のほか、国内のコミュニティーFMでも番組を発信する。

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