文在寅は公使失言を利用し訪日・首脳会談を狙ったが、国内から「行かないじゃなく、行けないんでしょ」の声

文在寅氏が五輪開催中の訪日を見送り 文政権の日本を敵視する姿勢に韓国内で反発も

記事まとめ

  • 在韓日本大使館の相馬弘尚総括公使が文在寅大統領を皮肉ったことが話題となった
  • 文氏はこの失言に乗じ、五輪開催中に訪日することを狙っていたが、失敗に終わった
  • 韓国内では「なぜ文政権は日本を敵視し、悪口ばかり言うのか?」との声もあがっている

文在寅は公使失言を利用し訪日・首脳会談を狙ったが、国内から「行かないじゃなく、行けないんでしょ」の声

文在寅は公使失言を利用し訪日・首脳会談を狙ったが、国内から「行かないじゃなく、行けないんでしょ」の声

二転三転した訪日

■「竹島の日」の式典後の“事件”


 在韓日本大使館の相馬弘尚総括公使が、韓国メディアとの昼食会で性的な表現を使って文在寅(ムン・ジェイン)大統領を皮肉ったことが話題となった。大統領はこの失言に乗じ、五輪開催中に訪日し、首脳会談で何らかの成果を上げることを狙っていたが、あえなく失敗に終わった。韓国情勢を取材する羽田真代氏によるレポート。

 相馬氏は2012年から15年にかけてソウルの在韓日本大使館で経済公使を務め、19年8月から再びソウルに総括公使として駐在していた。

 彼は韓国の大学で研修を受け、韓国語が流暢なことで知られる。総括公使として赴任した19年当時、日韓関係は史上最悪とされており、関係改善を狙って、韓国の政界や言論界とも広い人脈を持つ相馬氏に白羽の矢が立ったというわけだ。

 しかし彼の一連の行動が、日韓関係を改善させるどころか悪化させる要因となっているのではないかとかねて指摘されている。たとえば今年2月、日本が「竹島の日」の式典を開催したことを受け、韓国外交部が相馬氏を呼び出して抗議したが、わずかな時間で終了して韓国内で物議を醸したことがある。

 これを報じた韓国メディアによると「韓国が日本大使館関係者を呼び出し、抗議と遺憾の意を伝える、一連の“儀式”が完了するまで通常は30分ほどかかる」という。韓国メディアの記者は、「呼び出された彼が十分に韓国側の抗議を受け止めず、途中で打ち切るように仕向けたのが真相ではないかとされています」と話す。


■不適切発言は別問題だとして譲歩を拒否


 今回の不適切発言は、記者との懇談の場で発せられたという。文大統領が1人で日韓関係をこじらせていることにかこつけた性的表現だったとされるが、日本メディアの記者によると相馬氏は、「普段から下ネタを口にするタイプで、好きなワインが入ると下ネタを連発する人間」だという。その性格が仇になったということだろう。結局、この脇の甘い発言は、韓国側に政治的に利用されることになった。また韓国の「市民団体」は早速、相馬氏を警察に「告発」したというから恐ろしい。

 この発言から4日後、文大統領は東京五輪の開会式出席と菅義偉首相との初の日韓首脳会談を見送ると発表した。

 相馬総括公使の不適切発言を韓国メディアが報じた際、当初、韓国側はこの失言に乗じて訪日を成功させるスタンスを取っていたという。

「この発言を混ぜかえし、二国間の懸案とすることで、日本政府が文大統領の訪日に関して何らかのお土産や成果を確約してくれるのではないかと期待していたわけです。しかし日本政府は、不適切発言は別問題だとして譲歩を拒否。訪日して何らメリットがないとなれば国内で集中砲火を浴びるだけなので、訪日見送りを発表したという流れです」(先の韓国メディアの記者)

 訪日に向け韓国側が日本に対し提示した条件は、慰安婦・徴用工問題の解決に向けた協議、輸出管理措置の撤回、福島原発処理水放流撤回など、ここ最近、日韓の懸案として俎上にあがるものほとんど全部で、ハナから話のまとまりようがなかったというのが正直なところかもしれないが……。加えて、「相馬発言」に対する韓国の市民団体からの圧力がかなり強かったことも、文大統領の訪日にブレーキをかけたとされている。


■なぜ文政権は日本を敵視するのか


「大統領に対して著しく礼節を欠く公使を派遣するような国と仲良くする必要はないというのが市民団体側の主張です。公使の発言を利用して訪日のチャンスが拡大すると思ったのに、実際は逆効果だったかもしれないというのは皮肉なことですね」(同)

 実際、訪日キャンセルを伝える韓国側の報道には「日本が頑なに譲歩しようとしなかったから」「総括公使の不適切発言があったから」との主張が目立つ。

 その一方、これまでの政府やメディアの主張を真に受け、“反日脳”となってしまっている国民からは「日本と関係を改善する必要はない」という意見はかなり寄せられている。

 もっとも、そういう国民ばかりではなく、「行っても行かなくても文大統領に関心がない」「行かない? 行けないんじゃなくて?」「なぜ、文政権は日本を敵視し、悪口ばかり言うのか?」など、冷静な声も確認できる。

「任期満了まで1年を切ってレームダック化をとにかく避けるために、文大統領は訪日と首脳会談の機会を窺い続けるはずです。首相が菅さんであってもなくても、一番の懸案はコロナ対策で、日韓関係改善の優先度は低い。そうこうしているうちに任期満了がやってきそうですね」(先の日本メディアの記者)

羽田真代(はだ・まよ)
同志社大学卒業後、日本企業にて4年間勤務。2014年に単身韓国・ソウルに渡り、日本と韓国の情勢について研究。韓国企業で勤務する傍ら、執筆活動を行っている。

デイリー新潮取材班編集

2021年7月22日 掲載

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