「文在寅から許可を受けた組織暴力団」「悪」と名指しされる韓国労組の実態

「文在寅から許可を受けた組織暴力団」「悪」と名指しされる韓国労組の実態

労組への怒りと共に大統領への批判も

■出前先進国で起こっていること


“出前民族”と言われるほど韓国には宅配文化が根付いている。日本でも、ウーバーイーツや出前館のようなデリバリーサービスがコロナ禍の巣ごもり需要も相まって売り上げを伸ばしているが、韓国では日本よりもかなり前から重宝されてきた。韓国人の生活には無くてはならない存在となっている出前、宅配に関して、羽田真代氏のレポート。

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 韓国ではここ数年、韓国文化になかった一人飯や一人酒も好まれるようになった。勉強や仕事で忙しい単身者にとって、デリバリーサービスや宅配便サービスは生活に欠かせない存在で、毎日のように使用する者も少なくない。

 宅配システムが日に日に便利になっていくなか、今月6日に“配達員の権利を取り戻すための全国会”という掲示板に「労働組合に加入すれば宅配分流所(ターミナル)で暴行してもいいのですか?」という投稿があげられ、韓国で問題となっている。

 これは、“宅配労組執行部による非組合員への暴行”事件を指している。ターミナル内の防犯カメラに映された映像内には赤い鉢巻を巻いた男性がいきなりベルトコンベアの上に飛び乗り、向かい側に立っていた男性の胸を足で蹴り飛ばす様子がしっかりと記録されていたのだ。

 鉢巻の男性が労組執行部で、蹴られた方が非組合員ということになる。蹴られた男性は1メートル以上も後ろに飛ばされ、防犯カメラの死角へとはじき出されていた。因みにこの映像が記録されたのは2019年4月のことだった。


■休みなく体重激減で過労死


 こういう場合、どういう事情があっても蹴られた方に同情が集まりそうなものなのだが、そうではなかった。

 これを見た労組員と思われる人たちからは、投稿者を愚弄する書き込みが相次いで寄せられたのだ。宅配労組瑞山(ソサン)支部幹部は「こいつ(投稿者)の顔に暴力をふるえ」「人間と対話をしようとしたが、私が間違っていたようだ」と投稿者を馬鹿にしたような書き込みをし、蔚山(ウルサン)南部支部の会員は「何を犬のような戯言を言っているんだ?」とコメントを書き込んだ。

 また、支部は不明だが匿名で「生きていれば殴ることも殴られることもある。それが世の中というものだ」「何の理由もなく一方的に殴るなんてことはない。考えてみろ」など、暴力を振るった人物を擁護するコメントが続いている。加害者側に弁明の余地などないはずなのだが、これを当事者でない人物らが擁護していることに驚くばかりだ。

 韓国では以前より、宅配業者の労働環境が問題視されていた。

 先月31日には、宅配代理店を経営する40代のオーナーが自殺した。彼は自殺する前にA4用紙2枚の遺書を書き残しているが、そこには「(宅配労働組合員からのいじめに)耐えようと思ったが、彼らによる集団でのいじめにうつ病は頂点に達し、耐えられない状況に来てしまった」といった内容が綴られていたそうだ。

 昨年10月には、物流センターで働いていた27歳の青年が過労死している。

 彼は午後7時から翌日の午前4時までの夜間勤務で、特に旧盆の時期は休みを与えられず週7日勤務だったという。彼は旧盆の連休後、勤務を終えて帰宅したあとに倒れてそのまま息を引き取った。入社当初75kgあった体重は、1年4か月で60kgにまで減っていたそうだ。


■労組の圧力を証明する録音ファイル


 この青年が死亡してから1年が経った現在でも、業者からは謝罪の言葉もなく、加えて再発防止対策も出されていないという。

 その他にも労組が配達員契約にも圧力をかけている録音ファイルが公にされ、こちらも問題となっている。これは、労組が代理店に対し「労組が許可した人物とだけ契約するように」と脅迫するような内容であった。人事権と経営権は本来代理店の所長にあるが、労組がストをちらつかせて所長に権利を行使できないようにしているというのだ。

 労組にまつわる相次ぐ不祥事が公になったことにより、「大韓民国から労組という悪を取り除かなければならない。でなければこの国に未来はない」「韓国の法が軟弱だからこうなる。当該者らを直ちに拘束し、法律に基づいて罰する必要がある」「文在寅(ムン・ジェイン)大統領から許可を受けた組織暴力団が労組であり、大韓民国は暴力団の国になっている」といった声が国民から上がっている。

 今回の宅配業者の労働環境問題によって労組の解体を求める声が高まっているが、しがらみがありすぎて一朝一夕には進まないことだろう。

羽田真代(はだ・まよ)
同志社大学卒業後、日本企業にて4年間勤務。2014年に単身韓国・ソウルに渡り、日本と韓国の情勢について研究。韓国企業で勤務する傍ら、執筆活動を行っている。

デイリー新潮取材班編集

2021年9月13日 掲載

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