北朝鮮ミサイル落下で日米韓「見事な」三者不和

北朝鮮ミサイル落下で日米韓「見事な」三者不和

日米同盟は機能せず

「今年に入ってもう何発撃ち込まれているんだ! もっと敏感に反応しなさい!」

 今月2日の午後、自民党本部の9階廊下に響き渡ったのは二階俊博幹事長の怒鳴り声だった。

 居合わせた記者によれば、

「この日の早朝、北朝鮮が日本海に向けて発射した飛翔体を巡り、午後4時半から『北朝鮮核実験・ミサイル問題対策本部』の会議が緊急招集されたんです。二階さんは、自国の排他水域にミサイルを撃ち込まれたにもかかわらず危機感が足りない議員たちに、黙っていられなかったのでしょう。でも、今回ばかりは二階さんが正しいですよ」

 というのも、北朝鮮が発射に成功したのは、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の「北極星3」だからで、軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏によると、

「潜水艦に搭載して海中から発射できるのがその特徴で“究極の核戦力”と呼ばれるもの。北朝鮮の核兵器を巡る問題は新たな局面に入ったといえます」

 何が“究極”なのか。

「SLBMは敵の攻撃に対し、味方の戦略核兵器がどれだけ生き残れるかを示す“残存性”が極めて高い。つまり、第一撃で地上の軍事施設が壊滅しても、潜水艦から反撃する余地を残せる。そうなれば、北朝鮮への攻撃などおいそれと出来なくなってしまいます」(同)


■日米同盟は機能せず


 北朝鮮が発射した「北極星3」の射程距離は約2千キロ。日本列島がすっぽり収まる計算だ。

「今こそ、日米韓の緊密な連携が必要なのに、現状はその真逆」(先の記者)

 一体どういうことか。まず、韓国に目を向ければ、

「北によるSLBM発射すら、こちらでは反日に結びつくんだと驚きましたよ」

 と韓国特派員。

「8月に韓国政府は、日本に対してGSOMIAこと軍事情報包括保護協定の破棄を通告しましたが、期限が来る11月22日までは情報を共有できる。そこで日本に情報提供を求めたのですが、韓国政府の幹部は当初、その事実を否定していたのです。結局、認めはしましたが“弾着地点が日本側に近かったため日本の情報が必要になった”と言い訳に終始。韓国マスコミも“ミサイルを先に探知したのは我が国の方”“GSOMIAの破棄で狼狽(うろた)えた日本”と煽りまくりです」

 さらに、

「韓国の国防長官は、“昨年9月に結ばれた南北軍事合意に、SLBMの発射禁止という文言はない”と強弁する始末。日韓の足並みの乱れがここまでくると、目も当てられません」(同)

 そうはいっても、日本には米国という“心強い”味方が。ところが、元共同通信ワシントン支局長でジャーナリストの春名幹男氏は、

「北の核に関して、日米同盟はもはや機能していないと言わざるを得ません。今回のSLBMは米国本土を射程に収めるほどの能力はなく、トランプは興味もないし、知識もないというのが実情でしょう」

 そして、

「トランプは昨年6月に金正恩と交わした合意文書で北による大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射を封印したとアピールしていますが、話になりません。金正恩にICBMさえ撃たなければよいという免罪符を与えてしまったようなものです。安倍総理もトランプに強く意見することはできず、非常に厳しい状況」

 7日には、北朝鮮の違法操業船が水産庁の取締船に体当たりして沈没する事件があった。去年1年で5千隻もの北朝鮮船が日本の排他水域を侵犯したという。海から空から襲い来る北の脅威には、打つ手がないのが現状だ。

「週刊新潮」2019年10月17日号 掲載

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