韓国、日本への報復で入国制限も航空業界は全面危機…意外な業種が増収

コロナ禍の韓国で航空業界は全面危機 手術後に休息が必要な美容整形と眼科は売上増

記事まとめ

  • コロナ巡り韓国が日本人のみを対象とする入国制限を発表、韓航空業界は全面危機に陥る
  • 一方で韓国でのコンビニの売上げは増加、ネットショッピングモールは売上げ41%増加も
  • 恩恵を受けた意外な業種としては、手術後に休息期間が必要な美容整形と眼科が売上げ増

韓国、日本への報復で入国制限も航空業界は全面危機…意外な業種が増収

■離陸できない航空会社


 日本政府が、新型コロナウイルスの感染が拡大していた中国と韓国からの入国者に隔離を要請したら、韓国は報復として日本人のみを対象とする入国制限を発表した。その報復の代償はあまりに大きかった。その一方で、政府支援金のお陰で、意外な業種が売り上げを伸ばしているという。

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 韓国観光公社が公表した統計調査で、2020年5月に韓国に入国した日本人は45人だとわかった。前年同月は28万6273人だった。

 5月の入国者総数は3万861人だが、そのうち1万2864人が航空機・船舶の乗務員だ。なお同月、日本を訪問した韓国人は20人にとどまり、前年の60万3394人と比べて、ほぼ100%減となっている。

 日本政府が3月9日以降、新型コロナウイルスの感染が拡大していた中国と韓国からの入国者に隔離を要請すると、韓国は報復として日本人のみを対象とする入国制限を発表した。
 しかし、その後も新型コロナウイルスの感染が縮小する気配はなく、韓国政府は4月1日から韓国人を含むすべての入国者に2週間の隔離を義務付けた。7月3日、ソウル西部検察庁は隔離義務に違反した20代の日本人男性に懲役6か月を求刑した。

 韓国内に住所がある入国者は、空港から自家用車、専用タクシー、専用バスのいずれかを利用して、居住地を管轄する保健所に向かい、検査を受けた後、帰宅する。

 自宅に着いた日から2週間、外出禁止はもちろん、人に会うこともできない。当局は隔離者のスマートフォンにインストールしたアプリで位置情報を確認し、抜き打ちで電話をかけて在宅を確認する。生活支援物資か現金が支給され、食べ物や日用品は通販で購入する。

 7月4日時点で世界178か国が韓国からの入国を制限している。日本など52か国は隔離や検疫強化を実施し、126か国は入国自体を禁止しており、航空会社が打撃を受けている。

 アシアナ航空は、買収が暗礁に乗り上げた。アシアナ航空の筆頭株主である錦湖産業は、昨年、多額の負債を抱えた同航空を売りに出し、HDC現代産業開発が落札した。買収金は4月30日が払込み期限だったが、HDC現代産業開発は前日の4月29日に無期限延期を通告し、6月初旬、買収条件の再交渉を申し入れた。

 格安航空会社(LCC)のイースター航空は、航空運航証明(AOC)の効力が停止した。AOCは運航免許に相当し、運航中止期間が60日を超えると停止する。

 イースター航空は3月24日から国際線に加えて国内線の運航も中断していた。イースター航空は済州航空の親会社である愛敬グループによる買収が決まっていたが、愛敬グループは買収を予定していた4月29日の前日に延長を決めた。イースター航空はデフォルトに陥り、従業員の給与が4か月間支払われていない。

 日本から韓国に乗り入れているLCC7社は最大のドル箱路線である日本路線に活路を見出してきた。日韓路線は飛行時間が短い。さらに日本人は時間を守ることから運航遅延が起きにくく、降機時に自身で座席周りを整理したりするので、短時間で折り返しができる。路線によっては1つの機体で1日複数回の往復も可能だ。乗客1人あたりの収益はLCCが就航する中で日韓路線が最も高いが、不買運動の影響で日韓路線の利用者が激減し、コロナが追い打ちをかけた。

 韓国航空協会は今年下半期の国際線月平均旅客展望を昨年の504万967人より97.6%低い12万983人に引き下げた。下半期は少なく見積もって8兆7900億ウォンの売上げ減が予想される。

■政府支援金という“特別ボーナス”の恩恵に与る業界


 ハナ金融経営研究所は3月のカード売上を分析し、消費行動の変化として発表した。旅行代理店は85%、航空会社は74%、前年と比べて売上が減少していた。免税店も88%のマイナスだ。休業勧告を受けた習いごと教室は85%、外国語教室は62%、カラオケは50%、それぞれマイナスとなっている。

 一方、コロナで売上を伸ばした業種もある。インターネット・ショッピングモールは1月から3月期の利用額が41%増加した。オフラインではコンビニエンスストアが2月は32%、3月も12%増加している。

 日本のコンビニエンスストアは新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、いずれも減益となっている。セブン-イレブン・ジャパンは5月の売上げが前年同期比5.6%減で、ファミリーマートは11.0%減、ローソンは10.2%減だ。日本フランチャイズチェーン協会は、外出を減らしてスーパーでまとめ買いをする人が増えたからと分析する。

 一方、韓国の大手スーパーは17%減で、百貨店も23%のマイナスとなっており、コンビニの売上増加が際立っている。生活必需品を大型マートではなく自宅近くのコンビニで買う現象が広がったとハナ金融研究所は分析する。

 コンビニエンスストアは、商品価格がスーパーと比べて10%ほど高いが、韓国特有の「1+1」「2+1」などのいわゆるセット販売で割安感を演出した販売方式もプラスに働いた。一部のコンビニは、店舗前にテーブルと椅子を設置しており、食事時になると飲食店を避ける人々で賑わいを見せている。

 恩恵を受けた意外な業種もある。形成外科と眼科だ。医療機関はコロナに感染する懸念から小児科の46%減や耳鼻咽喉科の42%減を筆頭に軒並みマイナスとなったが、手術後に休息期間が必要な美容整形と眼科は増加した。

 とくに美容整形は、術後の半月から1か月は人前に出ることが憚られるが、道行くすべての人がマスクを着用している昨今、施術後のマスクが目立つことはない。また、在宅勤務の拡大で人に会う機会が少なくなり、この機会に整形手術を受ける人が増えたのだ。

 政府支援金という“特別ボーナス”が美容整形を後押ししている。

佐々木和義
広告プランナー兼ライター。京都の商業写真・映像制作会社を経て広告会社に転職し、住宅・不動産広告等のプランナー兼コピーライターとなる。韓国に進出する食品会社の立上げを請け負い駐在員として2009年に渡韓。日本企業のアイデンティティや日本文化を正しく伝える必要性を感じ、2012年、広告制作会社PLUXの設立に参画し現在に至る。日系企業の韓国ビジネスをサポートする傍ら日本人の視点でソウル市に改善提案を行っている。韓国ソウル市在住。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年7月8日 掲載

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