韓国のパクリ文化は日本のブランド名すら模倣する…WARAWARAにダサソー

■「笑笑」に関して、特許庁と裁判所で判断は分かれた


 韓国のコピー文化はDNAのようなもので、ブランドの名前そのものも模倣し、結果として、特許庁や裁判所でその正当性が争われてきた。特許などを管轄する特許庁のパク・ウォンジュ長官は昨年7月、中央日報に寄稿したコラムで、「特許は用語もシステムも日本から来た」と書いている。近年は中国などからコピーされる立場になった韓国は、その対策も日本にならっているという。

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 日本で「笑笑」を展開するモンテローザは、韓国進出後の2010年、居酒屋チェーン「WARAWARA」の商標の取り消し請求を行った。

 韓国で「WARAWARA」を展開するのはF&Dパートナーという会社だ。2001年に日本式居酒屋事業をスタートし、韓国語の「わらわら」と英字の「WARAWARA」、漢字の「笑笑」の商標を出願。漢字の「笑笑」は拒絶され、韓国語と英字を商標登録した。

 モンテローザが特許審判院(特許庁に相当)に「WARAWARA」商標の差し止めを訴えると、F&Dパートナーは、韓国語で「来なさい」という意の「わら」を並べたと主張した。漢字の「笑笑」の登録を目論んでいたことを忘れたようだが、特許審判院はモンテローザ勝訴の判断を下した。しかし、今度は、F&Dパートナーが裁判所の方に不服を申し立てると、最高裁は韓国企業の商標を認める判決を言い渡した。

 特許審判院は日本語に関するアンケート調査をベースにこう結論づけた。回答者の33・4%は日本語を学習した経験があり、さらに平均学習期間が21・05カ月に及ぶことから、顧客は、「笑笑」と「WARAWARA」は同じ名称だと認知できる……というものだ。

 一方、裁判所の判決はF&Dパートナーが商標を出願したとき、「WARAWARA」の認知度は高かったが、モンテローザの「笑笑」は認知されていないというものだった。

■ダイソーvsダサソーは判断が2度覆って…


 17年2月、京畿道水原の地方裁判所は、生活雑貨店「ダサソー」に商標法違反の罪で罰金500万ウォン(450万円)の支払いを命じた。15年10月にダイソーに対する商標権侵害が確定した後も「ダサソー」の名で商売を続けていたのだ。

 韓国ダイソーを展開する大創アソン産業は、2012年にダサソーを商標権侵害で訴えている。ダイソー(DAISO)とダサソー(DASASO)はハングル表記と英字表記が酷似しており、またダサソーは取り扱い品目と販売方式もダイソーを模倣してきた。

 韓国ダイソーは、大創産業(日本のダイソー運営会社)が一部出資しているが、経営に関与せず、人的交流もない韓国企業である。

 アサン産業は1992年の設立以来、生活雑貨を輸出してきた。大創産業から見れば、サプライヤーのひとつである。アサン産業は97年に日本のダイソーを模倣した均一ショップ「アスコイブンプラザ」を開業した後、大創産業の協力を得て店名をダイソーに変えて拡大した。コピーがホンモノになった珍しい例である。

 韓国ダイソーがダサソーを訴えた裁判は、一審はダサソー勝訴、二審はダイソーが勝訴し、最終審の大法院はダサソー商標の使用禁止と1億3000万ウォン(当時のレートで約1300万円)の損害賠償の支払いを命じるダイソー勝訴の判決を下した。

 最高裁に相当する大法院まで争われた類似商標訴訟で、日本企業のモンテローザは敗訴し、韓国企業のダイソーは勝訴したことになる。

 中国でたびたび商標問題が提起されるが、商標登録がされていないブランド名を前もって出願しておき、そのブランドが進出する際に商標権を高く売る例が多い。

 一方、韓国は、商標権者が直近5年間に使用した実績がない商標は、他国で先に登録している商標権者の求めに応じて取り消される制度がある。

 しかし、日本をベンチマークした商標は継続使用されている例が多く、取り消しは難しい。


■筆者が遭遇した「辛口」「上撰」の使用差し止めのてん末


 リーガルコーポレーションは17年1月、韓国で「REGAL」ブランドの靴を製造販売する金剛製靴を不正競争防止法違反と著作権侵害でソウル地裁に訴えた。1年に及ぶ訴訟の末、ソウル地裁は金剛社の商標は合法だとして、リーガルコーポレーションの請求を棄却した。

 リーガルコーポレーションは、61年に米国メーカーとライセンス契約を締結して日本国内でリーガルブランドの革靴の生産を開始し、90年に米国など3カ国を除く商標権を取得した。もちろん韓国も含まれる。

 リーガル社は1971年から一部商品の製造を金剛製靴に委託したが、その金剛製靴は82年に「REGAL」の商標を無断で登録し、リーガル社と金剛社の取引が終了した後も、リーガルブランドの製造と販売を続けてきた。

 もっとも、実は近年、日本ブランドの商標侵害はほとんどなくなっている。2012年の日本酒商標問題を機にジェトロ(日本貿易振興機構)・ソウル事務所が監視体制を構築したことが大きい。

 2012年3月、日本酒輸入大手の日本酒コリアが同業ライバルに対し、日本酒コリア社が商標権を有する「辛口」や「上撰」など、日本では絶対に登録されることがない日本酒用語の使用差し止めを要求した。

 内容証明を受け取った輸入会社は、業界最大手の全日本酒類に泣きついた。私ごとで恐縮だが、筆者は全日本酒類の社長から協力を依頼され、ジェトロ・ソウルに持ち込んだ。全日本酒類は包囲網を構築。日本酒コリアおよび同社と親しい企業を除くすべての日本酒輸入会社が集まった。ジェトロ・ソウルは日本の本部と協議した。

 ジェトロ本部との協議が終わるまでマスコミには伏せることにしたが、どこから話を聞きつけたのか当時の朝日新聞ソウル支局長から筆者に電話が入り、朝日新聞ソウル支局が日本国内で報道を展開した。

 商標事件の報道が拡大し、日本酒コリアは白旗を上げた。ジェトロ・ソウルに訴えを取り下げると申し入れて決着した。

■コピー対策も日本をベンチマークとする韓国


 この事件以降、ジェトロ・ソウルは、韓国で日本に関わる申請が出願されたら日本の商標権者に連絡し、その商標権者が異議を申し立てて違法な商標登録を事前に防ぐシステムを構築した。登録された商標の取り消しは時間とカネがかかるが、登録前の阻止は、それほど難しくはない。

 韓国当局もまた違法コピー対策に乗り出した。韓国検察は2012年に1兆4282億ウォン(約1179億6900万円)の違法コピーを摘発した。大法院も15年12月に日本のうさぎのキャラクター「ルシュクル」を模倣したぬいぐるみの販売業者に実刑判決を言い渡した。

 18年6月には文化体育観光部は関税庁、著作権保護院と合同でピカチューなどの違法コピーを摘発した。このとき押収したコピー品は3億ウォン(約2965万円)に上ったが、文化体育観光部は前年にも5億ウォン相当の違法コピーを摘発した。

 韓国が著作権保護を強化した背景に、中国における韓国ブランドのコピーがある。韓国ベーカリー大手の「パリバゲット」が中国に進出したとき、すでに商標が登録されていた。かき氷の「ソルビン」も第三者が登録していた。韓国のテレビドラマはスポンサーの商品や店舗を大きく映し出すが、そのドラマを見た中国人が商標を登録する例が相次ぎ、2016年までに1000件を超える韓国商標が中国の第三者によって登録されたのだ。

 中国のコピーは韓国のお家芸だった「もどき」にも目をつけた。携帯電話の「Samsung Anycall」を模した「Samsong Amycall」やプラスチック容器の「LOCK&LOCK」 を模した「LQCK & LQCK」、オリオン製菓の「コレパプ」を模した「パプコレ」などが登場した。コレパプは森永の「おっとっと」の模倣が疑われている商品である。

 韓国ブランドのコピーはベトナムでも増えている。日本や欧州をコピーしてきた韓国は逆の立場になったワケだが、コピー対策も日本をベンチマークしているようだ。

佐々木和義
広告プランナー兼ライター。商業写真・映像制作会社を経て広告会社に転職し、プランナー兼コピーライターとなる。韓国に進出する食品会社の立上げを請け負い、2009年に渡韓。日本企業のアイデンティティや日本文化を正しく伝える必要性を感じ、2012年、日系専門広告制作会社を設立し、現在に至る。日系企業の韓国ビジネスをサポートする傍ら日本人の視点でソウル市に改善提案を行っている。韓国ソウル市在住。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年8月6日 掲載

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