
文在寅政権の『日本製品不買』をアピールするポスターの印刷に三菱の技術
2020年09月14日 12時36分 デイリー新潮
2020年09月14日 12時36分 デイリー新潮
2020年09月13日 17時01分 デイリー新潮
軍でとんかつを配膳する文大統領。統治時代のとんかつ料理を律儀に守る
韓国放送広告振興公社が8月に発表した消費者形態調査で、75%が日本製品の不買運動に参加していると回答し、また、文在寅政権はことあるごとに日本統治時代の文物である日帝残滓の排除を主張する。しかし、日本の製品や文化は、文在寅大統領が日帝残滓の排除と日本製品の不買を叫んでも排除できないほど、韓国人の生活やビジネスに浸透し過ぎている。
韓国と日本の国交回復以降、日本をベンチマークしたと称するパクリのほか、統治時代に伝わり、いまさら排除できないほど浸透している文物が少なくない。
韓国人は豚肉をよく食べる。多様な豚肉料理の一つであるとんかつは統治時代に日本人が持ち込んだ。
とんかつは豚(とん)とフランス料理のカツレツを組み合わせた造語で、発祥は諸説あるが、1899年、銀座・煉瓦亭のメニューが最初というのが定説だ。
韓国には統治時代の30年代までに伝わった。当時は富裕層を象徴する料理で、60年代にスタイルが確立して庶民に普及した。
韓国語には「ツ」の音がなく、韓国国立国語院が定めた外来語表記では、日本語の「ツ」は「ス」と表記する。最近は日本式のとんかつ料理も増えており、韓国式のとんかつ料理はトンカス、日本式とんかつ料理は「トンカチュ」と書かれて区別されている。
トンカスは、豚肉をハンマーで叩いて薄く伸ばしてから油で揚げる。野菜と一口大の丸いご飯を同じ皿に盛り、白いスープが供される。
統治時代に日本人が伝えたとんかつが、このハンマーで叩く料理法だった。
日本ではいまはほとんど見られないが、韓国のトンカスは90年経ったいまでも統治時代のとんかつ料理を律儀に守っている。
一方のトンカチュは、現在、日本で一般的なとんかつ料理と大きな違いはない。
文在寅大統領の出身地、釜山の代表料理におでんがある。韓国では練り物全般をおでんと呼ぶ。おでんは料理に使われるほか、おやつとしても人気がある。文在寅大統領も子供の時から親しんでいたことだろう。
韓国にはうどんと似たカルグクスという料理があるが、麺の製法や料理法が異なっており、日本のうどんに似た麺は日本語と同じ「うどん」という。
うどんは、中国から伝わった麺料理を元に作られた日本独自の麺料理だが、プデチゲなどの韓国料理や中国にはない料理を提供する正統中国料理店にもうどんがあり、韓国人に欠かせない日常食となっている。
韓国人が好んで食べるキンパブやタンパルパンも統治時代に日本人が持ち込んだ。
キンパブは日本の海苔巻きを真似た料理で、韓国でも「ノリマキ」と呼ばれていたが、1995年、国立国語院が海苔を意味するキムとご飯を意味するパブを合わせた「キンパブ」という名を推進した。タンパルパンは統治時代に伝わったアンパンである。
旧暦の盆や旧正月などの名節に先祖の墓に清酒をかける習慣があり、この清酒も統治時代に日本人が持ち込んだ。
年配者は清酒をチョンジョンと呼ぶが、統治時代に韓国で製造された日本酒「櫻正宗」に由来する。チョンジョンは正宗の韓国語読みだ。
食糧難だった60年代、米を原料とする清酒は衰退したが、80年代以降、日本の杜氏の支援を得て復活した。
韓国料理と聞いてイメージする人が多い焼肉は、在日韓国・朝鮮人が発祥だ。韓国の焼肉料理は在日韓国人が伝えたという説と朝鮮戦争時の米軍人の調理法に由来するという説がある。
朝鮮戦争は、在日韓国・朝鮮人の焼肉料理が確立した後であり、後者の場合、日本に駐留した進駐軍が媒介した可能性もありそうだ。
唐辛子は加藤清正が持ち込んだ。韓国人が蛮行だと批判する豊臣秀吉の朝鮮出兵のときである。
南米原産の唐辛子は16世紀、ポルトガル人宣教師が日本に伝えたといわれている。日本では食用として用いられることはなく、観賞用や足袋のつま先に入れて霜焼け止めに使用した。
加藤清正は目潰しや毒薬といった武器と韓国の冬の寒さに備える凍傷予防に使用した。
日本では唐辛子または南蛮胡椒と呼んだが、朝鮮では日本から伝わった辛子の意味で倭芥子(倭辛子)と呼ばれた。
17世紀の本草学者として知られる貝原益軒は、唐辛子を朝鮮から伝わった高麗辛子と書き残しており、食用としての唐辛子は朝鮮から逆輸入されたといわれている。
日本人は安全かどうかわからない唐辛子を口にしなかったが、朝鮮人はいきなり口に入れたらしい。
唐辛子はキムチをはじめとするさまざまな料理に使われ、韓国料理になくてはならない食材となっている。
韓国の鉄道は日本が建設した。
当初、アメリカ人実業家のモールスが鉄道敷設権を取得したが、渋沢栄一が権利を買い取り、1899年9月、仁川港とソウルの鷺梁津を結ぶ鉄道が開通、翌1900年、現在のソウル駅あたりまで延伸した。
日本が敷設した韓国の鉄道は、日韓併合後に朝鮮総督府鉄道となり、総督府は釜山から京城(現ソウル)を通って、中朝国境を流れる鴨緑江の北朝鮮側河岸の新義州に至る路線を完成させた。
朝鮮総督府鉄道を引き継いだ韓国鉄道公社は日本と同じく左側通行だが、ソウル交通公社は右側通行を採用している。
日本は早い段階から自前で自動車を製造したが、自前で作る技術がない後進国は、支援国から輸入した。支援国が右ハンドルなら左側通行、左ハンドルの国は右側通行を採用した。
韓国のモータリゼーションは米国の支援を受けた時代に始まったこともあり、米軍支援以降に事業がスタートした鉄道は右側通行を採用した。
首都圏鉄道の地下鉄4号線は、唯一、ソウル交通公社と韓国鉄道公社が乗り入れる路線である。
ソウル交通公社の運行区間は右側通行で、鉄道公社の運行区間は左側通行のため、平面交差で左右を入れ替える。
通るたびに衝突事故が起きないかハラハラするが、地下区間のためか平面交差に気づく人は皆無に近く、不安を感じる人はいないようだ。
日本製品の不買運動をアピールするポスターは三菱なしでは印刷できない。
韓国の製紙と印刷は日本の技術を踏襲しており、三菱重工業(現・リョービMHIグラフィックテクノロジー)が圧倒的なシェアを持つ。
韓国には三菱印刷機の拠点はなく、印刷機械を購入する工場主は日本の三菱製中古機械の情報を求め、購入が決まると広島に出向いて三菱の工場で研修を受ける。
19年に破産宣告を受けた静岡県の印刷機メーカー、シノハラの代理店であるシノハラ・コリアも三菱の扱いが多いと話している。
パスポートは世界標準品質が求められており、韓国造幣公社は日本製品を基準に適合性をテストしている。
韓国製用紙はパスポートの基準を満たさず、日本製を使用している。国内使用が基本の紙幣は韓国産でも可能だが、偽造防止のホログラムは日本企業から購入している。
日本の製品や文化は、文在寅大統領が日帝残滓の排除と日本製品の不買を叫んでも排除できないほど韓国人の生活やビジネスに浸透し過ぎている。
歴史を知らない政権は、現状も知らないのだろうか。
佐々木和義
広告プランナー兼ライター。商業写真・映像制作会社を経て広告会社に転職し、プランナー兼コピーライターとなる。韓国に進出する食品会社の立上げを請け負い、2009年に渡韓。日本企業のアイデンティティや日本文化を正しく伝える必要性を感じ、2012年、日系専門広告制作会社を設立し、現在に至る。日系企業の韓国ビジネスをサポートする傍ら日本人の視点でソウル市に改善提案を行っている。韓国ソウル市在住。
週刊新潮WEB取材班編集
2020年9月13日 掲載