「徴用工」で焦る文在寅、日本との関係改善を急ぎつつ 「親日派」は排除され続けて

文在寅大統領が日本との関係改善を急ぐ 『親日派』は排除され続けているとの指摘も

記事まとめ

  • 文在寅大統領は徴用工問題で焦っているらしく、日本との関係改善を急いでいる
  • 一方、韓国では日本に同調したら親日派という烙印を押される動きが続いているらしい
  • 文在寅大統領は昨年3月1日に「親日清算は先延ばしできない課題」と述べている

「徴用工」で焦る文在寅、日本との関係改善を急ぎつつ 「親日派」は排除され続けて

■次から次へと「反日」の材料を見つけるお家芸


 11月10日、韓国銀行は1983年から100ウォン硬貨に刻まれている“李舜臣(イ・スンシン)将軍”の肖像を入れ替えると発表した。肖像を描いた画家が日本帝国主義時代“親日派”だったという理由からだ。次から次へと「反日」の材料を見つけて排除するスタンスはお家芸としか言いようがないが、一方で、文在寅大統領が日本にすり寄る態度に北朝鮮は業を煮やしているのだ。

 李舜臣将軍は、豊臣秀吉の朝鮮出兵(1592〜1598年)の際に、朝鮮水軍を率いて日本軍と戦った英雄として、ドラマや映画にも取り上げられるほど人気が高い偉人である。

 韓国銀行は親日派が描いた偉人の肖像画は認められないと述べ、同じく親日派画家が描いたとされる5000ウォンや1万ウォン、5万ウォン紙幣も要請があれば入れ替えを検討するという。

 100ウォン硬貨の李舜臣は2005年に亡くなった画家の張遇聖(チャン・ウソン)氏が描いた肖像画だ。

 張氏は2009年、非営利法人「民族問題研究所」が発刊した『親日人名辞典』に登載された。

 張氏は日本の統治時代、朝鮮総督府が主催した美術展覧会で推薦画家に選ばれたという理由から“親日派”名簿に名を連ねることになったのだ。

 張氏の子孫は「日帝時代、画家として活動するための行為であり、売国ではない」と主張、韓国銀行の措置に対し、政府に嘆願書を提出したという。

 芸術家は作品で評価されるべきなのは言うまでもない。

 もちろん仮に、国を売り渡すことに積極的に協力し、自国民を苦しめて私腹を肥やしたなら「売国奴」と非難されても仕方ないだろう。

 しかし、張氏は売り渡しに加担せず、朝鮮人を苦しめず、日本式改名もしなかった。

 日本帝国主義時代に画家として成功するため、時流に従ったに過ぎない。

 張氏を親日派名簿に記載した「民族問題研究所」は、政府機関ではないため公的効力はなく、中立性に疑義が呈されたことは一度や二度ではないのだ。

 それでも公共機関の韓国銀行は、100ウォン硬貨の肖像画の変更を強行する。

 少しでも日本に同調したら、親日派と言う烙印を押し、功績もすべて抹消するのだ。

 不条理そのものである。

 肖像問題は今年9月、親・文在寅政党である「共に民主党」所属の林五卿(イム・オキョン)国会議員が提起したものだ。

 林五卿議員は韓国政府が指定した標準肖像画に、親日派画家の作品があると指摘した。

「国に背を向ける親日行為を行った作家の描いた肖像が国に指定され、子孫に伝わるのは正しくない」と述べ、直ちに当該作品を替えなければならないと要求している。

 林五卿議員の過去を振り返ってみよう。

 林議員は国会議員になる前、ハンドボール選手として活躍し、五輪でメダルを獲得した。

 1994年、日本女子ハンドボールリーグ「広島イズミ」(現・イズミメイプルレッズ)に入団し、選手兼コーチとしてチームをリーグ8連覇に導いた。

 林議員は韓国のプロチームでは考えられなかった収入を日本で得て、広島市民賞を受賞。1994年、広島で開催されたアジア協議大会では、外国人として唯一人、聖火リレーに参加した。

「画家で成功するためだった」という張遇聖氏を“親日派”と決めつけ、彼の作品をすべて交換しなければと訴える林五卿議員。

 スポーツ選手として成功するため、日本で活躍し、聖火リレーに出ただけと言うかも知れないが、日本帝国主義時代なら親日派と呼ばれ、パージされたことだろう。

■文在寅大統領を非難すれば“親日派”に


 林五卿議員の問題提起後、民主党所属の国会議員は韓国銀行本館の礎石に刻まれた文字は伊藤博文が書いたと主張。

 礎石の撤去を求める世論が形成されると、韓国銀行総裁は「早期に処理する」と発表、ある市民団体が野球バットで礎石を壊そうとしたが、警察が制止した。

 文在寅の大統領就任後、慰安婦問題に関する「日韓合意」の破棄や朝鮮人元徴用工の賠償判決、また日本が韓国をホワイト国リストから除外するなど、日韓関係が悪化し、日本製品不買運動が広がって、反日感情が急激に高まった。

 文大統領は「われわれは二度と日本に負けない」と豪語し、民主党は日本の輸出規制を「経済侵略」と規定した。

 不買運動家は「独立運動はできなくても、不買運動はする」と話した。「ユニクロ+J」の発売初日に朝から行列し、任天堂スイッチやソニーのプレイステーションを購入する「選択的不買」を見ると失笑を禁じ得ないのだが……。

 反日感情が高まった韓国人の間で「日本の侵略から国を守る手段」という荒唐無稽な理屈が拡散し、文大統領と民主党を非難する人々は“親日派”“土着倭寇'と罵倒された。

 罵倒されただけではない。

“親日派”画家の作品を貨幣から無くさなければならないという世論が広がると、京畿道利川市は、親日派と名指しされた有名作家の記念碑を撤去し、安養市は「民族問題研究所」の『親日人名辞典』に登載された作曲家が作った地域市民歌を新しく選定した歌に入れ替えた。

 文大統領は昨年3月1日の「3・1独立運動100周年記念式」で「親日清算は先延ばしできない課題」と述べている。


■「民心を欺く演技」と北朝鮮から非難され


 文政権と与党民主党の政治基調は「反日」で、日本帝国主義時代に少しでも日本に同調した人物には“親日派”の烙印を押し、自分たちの性向と合わない人を“親日派”“土着倭寇”と罵る。

 共産主義を選択して戦争を起こし、同じ民族を殺害して朝鮮半島を支配しようとした北朝鮮に対しては「平和と共存の対象」だと述べ、常に負け犬の態度を見せる一方、日本には「絶対に負けられない」と立ち向かう。

 そんな文大統領が北朝鮮から「親日・売国奴」と罵られた。

 9月16日、文大統領が菅義偉首相の就任を祝う書簡を送ったのを受け、10月24日、北朝鮮の宣伝媒体メディア「わが民族同士」はこう非難した。

「(韓国が)少し前まで『克日』『反日』と口にするときは少し自尊心が見えたが、日本は我々に対し、言葉にできない不幸と苦痛を強要した『不倶戴天の敵』である」

「韓国が姿勢を低くして、日本にこびへつらう行動を見ると『克日』『反日』は民心を欺く演技に過ぎなかったようだ」

 もちろん、これに対して韓国政府は沈黙を守っている。

 文大統領は11月14日、第23回アセアン+3首脳会議で「日本の菅首相にお会いできて嬉しいです」と他の首脳には触れず、菅首相にのみに言及している。

 韓国政府の関係者はこう明かす。

「政府は、元徴用工賠償判決による日本企業の資産売却が目前に迫るいま、日本政府による“措置”を憂慮しています」

「したがって、日本との関係改善に向けて素早く動いており、文大統領は菅首相との対話と首脳会談を求めているのです」

 もっとも、菅首相がこれに応じる気配はまるでない。

 韓国銀行が暢気に100ウォン硬貨の肖像を入れ替える作業をする一方、焦る文大統領に北朝鮮はふたたび「親日・売国奴」と非難する声明を発表するかも知れない。自業自得としか言いようがない。

田裕哲(チョン・ユチョル)
日韓関係、韓国政治担当ライター

週刊新潮WEB取材班編集

2020年11月20日 掲載

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