「ヒュンダイ」がいよいよ日本再進出を公式に決定、電気自動車からは火災発生、販売中止の最中に

■国内ユーザーの声に耳を傾けない


 12月19日、ヒュンダイ(現代自動車)が水素電気自動車「ネッソ(NEXO)」を前面に掲げ、およそ10年ぶりに日本市場に進出すると報道された。水素インフラが整わないうちに上陸して勝ち目はあるのか。加えて、いまだ韓国内で続く、日本製品不買運動に代表される反日政策に韓国企業としてどう向き合うのか。相前後し、自身が誇る電気自動車が火を噴き、販売中止を余儀なくされてもいる。その是非について、在韓ライターが考察する。

 これまでの経緯を駆け足で振り返ってみると、今年6月、ヒュンダイ・ジャパンは日本語公式Twitterアカウントを開設。

 9月には東京・代官山で「ネッソ」のプロモーションを実施。

 日本に再上陸するという見込みを受けた韓国の株式市場で、現代自の株価が急騰していた。

 しかし、好事魔多しと言うのか、身から出た錆なのか、言い方は様々なのだろうが、12月7日、現代自と傘下の起亜自動車は、「米国でエンジン故障に伴う火災が発生する恐れがある」として、42万4000台のリコールを開始した。

 18日には現代自の電気自動車「コナ・エレクトリック」で火災が発生、ブレーキの不具合と合わせてリコールを開始した。

「コナ・エレクトリック」は以前にも火災を発生させており、LG化学が供給するバッテリーが問題視されたが、何らの対策も施してこなかった。

 国内ユーザーの声に耳を傾けないといわれる現代自は、米国で発生した問題が、韓国内でも報道され、重い腰を上げた。

 そして現代自は「コナ・エレクトリック」の韓国販売を中止すると発表した。

 日本市場に投入予定の水素自動車2代目「ネッソ」は韓国のほか、北米や欧州、オーストラリアなど世界各国で売られている世界戦略車で、初代からの累計で1万1000台を売り上げている。

■1台でも日本で火災が発生したら


 現在、世界で販売されている乗用水素自動車は、トヨタ「MIRAI」、ホンダ「 クラリティ フューエルセル(CLARITY FUEL CELL)」、ヒュンダイ「ネッソ」の3モデル。

 2014年に発売されたトヨタの水素自動車「MIRAI」の販売数は1万台で、「ネッソ」はこれをわずかに上回っていることになる。

 今年6月、日本進出の記事を見た同社関係者からは、こういった声が上がってきた。

《火災問題を解決しないまま日本に進出して、1台でも火災が発生したら、企業評価がどこまで落ちるか恐ろしい》

《反日不買をやっている国が何をどう間違うと、日本に上陸してその国のクルマを売る決定を下せるのか》

《文政権下の日本進出を誰が喜ぶのか。韓国人と日本人の双方から反感を買うだけではないか》

《上層部は、日本市場でのかつての失敗を忘れたのか》

「ネッソ」はまだ大きなトラブルはないものの、現代自が水素自動車(FCV)と電気自動車(EV)を携えた再上陸作戦を唱える中、関係者の多くが不安を抱えているのは間違いない。

「SUVの水素自動車」という強みを活かし、日本再上陸を成功に導きたい現代自だが、企業イメージに加えて、当然ながら日韓葛藤が障害になりそうだ。

 今年1月、韓国政府は「2018年に14基だった水素ステーションは、19年は34基になり、20基増えた」と増加数を強調していた。

 日本は112基、ドイツは81基、米国は70基あり、絶対数で水素先進国に及ばない韓国は、唯一、自慢できる増加数を強調したわけだ。

■実現したのは目標の半分以下


 そうやって、水素ステーションが最も多く増えたと自慢する韓国政府だが、20年の構築目標は86基だったにもかかわらず、実際に実現したのはその半分以下で、政府機関の資料で確認できるステーションは38基に過ぎない。

 そんな韓国政府は、2022年までに310基の水素ステーションを構築するという計画をぶち上げてもいるが、耳障りの良いことだけをその場しのぎで口にしているように映るのは筆者だけだろうか。

 いまだ韓国内で続く、日本製品不買運動に代表される反日政策に韓国企業としてどう向き合うのか。

 水素インフラが充実する国に進出することは間違ってはいないが、一方で、電気自動車が火を噴き、販売中止の憂き目に遭っている中での“日本へのリベンジ”はあまりに分が悪くないだろうか。

高秀樹
在韓ライター

週刊新潮WEB取材班編集

2020年12月23日 掲載

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