医療用大麻をペットに、法的にはグレーゾーンも 米国

【7月12日 AFP】朝のエサを食べ終えた黒のラブラドルレトリバーのケイリー(6歳)は、すっかり目が覚めた様子で飼い主のブレット・ハルトマン(Brett Hartmann)さん(30)の方をじっと見つめ、午前の投薬を待っている。

 口に薬を流し込むと、ケイリーはしっぽを振りながら、その液体をしきりになめる。ハルトマンさんは毎日朝夕に「医療用大麻」をケイリーに与えている。不安感を取り除くことが目的という。

 米カリフォルニア(California)州ロサンゼルス(Los Angeles)で暮らすハルトマンさんは、大学生時代にてんかんを患い、介助のためにケイリーを飼い始めた。その後、医療用大麻の服用でてんかんを克服したため介助は不必要となったが、今度はケイリーに問題が生じた。飼い主と離れることを極端に嫌がる分離不安の症状が表れたのだ。そこで、犬にも同様に大麻を与えてみたのだという。

「CBD(カンナビジオール、大麻由来成分)を与え始めて以来、分離不安症は和らいできた」とハルトマンさんは話す。

 米国では、医療用および嗜好(しこう)用大麻の市場が数十億ドル規模にまで成長・成熟しているが、動物たちを対象とした動きでも同様の拡大がみられる。

 カリフォルニア州で人および動物用の非精神活性の医療用大麻を専門に取り扱う「トリートウェル(Treat Well)」創設者のアリソン・エッテル(Alison Ettel)氏は「われわれの会社は毎月約20%の成長率を記録し続けている」と近年の大麻市場の活況ついて説明する。

 エッテル氏は「1日に1〜5匹のがん患者が来るが、その中でわれわれは驚きの結果を実際に目にしている」と話し、大麻が平均余命を延ばすのに役立っていることは肌で感じられると続けた。

 会社設立は約10年前で、当初は治療する動物の数も年間20匹程度だった。主に犬が対象だった動物の種類も、今では猫、トカゲ、カメ、アルパカ、馬と多岐にわたる。家畜も多い。

 医療用大麻は現在、29州とコロンビア特別区(District Of Columbia、首都ワシントン)で合法化されている。これに伴い、動物の患者数も急増しているのだという。

■「奇跡の薬」なのか?

 しかし、業界は活況を呈しているとはいえ、大麻は連邦レベルではいまだに非合法なままで、州レベルの大麻法はペットたちには適用されない。つまり、獣医師が大麻を処方することはできないため、ペット用の大麻を入手したければ、飼い主自らが許可証を入手する必要があるのだ。

 この法律のグレーゾーンに加えて、ペット用大麻の影響に関しては、研究が十分行われていないため、投与量についてはかなりの注意が必要となってくる。

 病気で苦しむペットに、痛み止めや従来の薬ではなく大麻の投与を支持する人々は、適切な使用下では大麻に重大な副作用が起きていないことをその主な理由として挙げる。

 それでも、獣医師らは大麻を「奇跡の薬」とみなす向きに警鐘を鳴らす。

 カリフォルニア獣医師会(California Veterinary Medical Association)のケン・パブロフスキー(Ken Pawlowski)会長は「犬や猫に対する研究さえないのだから、ましてやモルモットなどの他の動物の研究などない。だからたとえ何か潜在的なメリットがあったとしてもそれが何なのか私には分からない」と語る。

 同氏はまた、大麻を投与されたペットは気持ち良さそうにしているかもしれないが、それは病気が治ったことを意味するわけではないとも述べた。

 しかしハルトマンさんのような飼い主らの心は決まっている。

「われわれには非常に多くの成功事例がある」と、大麻コンサルタントとして働くハルトマンさんは言う。「私はてんかんの治療のために医療大麻を使うまで、ずっと反対派だったし、支持もしていなかった。でも、大麻は私の体を治すのに役立ったのだから、うちの犬たちに使うのも理にかなっているはずだ」

 映像は、カリフォルニア州エンシノ(Encino)のハルトマンさんと飼い犬のケイリー、ブルータス。6月7日撮影。(c)AFP/AFPBB News