両親は共産党員なのに『ノマドランド』監督に祖国中国が塩対応 東アジア「深層取材ノート」(第85回)

両親は共産党員なのに『ノマドランド』監督に祖国中国が塩対応 東アジア「深層取材ノート」(第85回)

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 昨今、ホワイトハウスがあるアメリカ東海岸では、「米中新冷戦」が声高に叫ばれているが、中国との経済的結びつきを重視するアメリカ西海岸は、また趣向が違うようだ。

 アメリカ西部時間の4月25日夜(日本時間26日)、ロサンゼルスで開かれた第93回アカデミー賞授賞式で、中国出身の女性監督クロエ・ジャオ氏が、『ノマドランド』で、作品賞・監督賞・主演女優賞という主要3部門を獲得した。アジア人女性の監督賞受賞は、史上初である。

「ノマド」とは、時間や場所にとらわれない働き方、生き方のこと。最近アメリカに多発しているノマドたちの生き様を、独特のタッチで描いた作品だ。この作品でゴールデングローブ賞監督賞、英国アカデミー賞監督賞、米監督組合賞などを受賞しており、ついにオスカーをも手にした。

若くして国有企業トップに上り詰めた実父

 私は中国を対象とするジャーナリストなので、ここからはクロエ・ジャオでなく、本名の趙?(Zhao Ting)、『ノマドランド』でなく中国語タイトルの『無依之地』(Wuyizhidi)と呼ばせていただく。

 趙?は1982年に、北京に生まれた。父親と義母は、ともに中国の有名人である。

 父親の趙玉吉(Zhao Yuji)は、1954年生まれで、現在66歳の中国共産党員。上海の名門・復旦大学で経済学修士を取得後、中国北方最大の国有鉄鋼会社である首都鉄鋼公司に入社。1985年、若干30歳にして、大鉄鋼会社の社長に上り詰めた。娘の趙?が、まだ2歳か3歳の頃だ。

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