ロシアに塩を送るEUによるベラルーシ制裁の皮肉 EUに接近した「奇妙な隣人」ベラルーシの埋まる外堀

ロシアに塩を送るEUによるベラルーシ制裁の皮肉 EUに接近した「奇妙な隣人」ベラルーシの埋まる外堀

ロシアに塩を送るEUによるベラルーシ制裁の皮肉 EUに接近した「奇妙な隣人」ベラルーシの埋まる外堀の画像

(土田 陽介:三菱UFJリサーチ&コンサルティング・副主任研究員)

 欧州連合(EU)は5月24日、ベラルーシに対して制裁を科すと決定した。理由はもちろん、ルカシェンコ政権が領空飛行中のアイルランド航空機を強制着陸させ、機内にいた反体制派のジャーナリスト、ロマン・プロタセビッチ氏を拘束したためである。ルカシェンコ政権は今年4月、同氏が関係するメディアを「過激派」と指定、排除を進めていた。

 具体的にEUは、親政権の経済団体及び今回の強制着陸と記者拘束に関与した責任者に対する制裁を決定。またEU域内の航空会社に対して、ベラルーシ上空を飛行しないように呼び掛けた。これによってベラルーシ政府は領空通過料を失うことになる。EUのみならず米国のバイデン大統領も、ベラルーシの暴挙に対して非難の声明を出した。

 旧ソ連の崩壊を受けてベラルーシが独立したのは1991年のこと、1994年に大統領制を導入して以来、一貫してその座にあるのがルカシェンコ大統領である。ヨーロッパ最後の独裁者とも言われるルカシェンコ大統領は「基本的人権」や「民主主義」を重視する欧米から手厳しい批判をたびたび受けてきたが、近年、その政治手法をますます強権化させている。

 ベラルーシでは2020年8月に大統領選が行われたが、その際にルカシェンコ大統領は対抗馬の候補を次々と排除するなど選挙不正を行った末に再選した。ルカシェンコ大統領の辞任を求める声が日に日に高まり、首都ミンスクで大規模な反体制デモが行われるなどしたが、治安当局が関係者を拘束するなど弾圧を強めていた。今回の一件は、その矢先に起きた事件である。

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