メコン川に映るべトナム、カンボジア、中国の“悪縁” ベトナム南部のデルタ地帯はもともとカンボジアだった

(佐藤 けんいち:著述家・経営コンサルタント、ケン・マネジメント代表)

 前回のコラム(「発見に満ちている人工河川・利根川の“流域”」https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56707)では、日本の関東地方を群馬県の水源から千葉県の銚子まで流れる利根川について、“流域”という観点から取り上げた。流域の発想は、洪水などの災害時だけでなく、平時においても重要である。

 今回は、ヒマラヤ山脈のチベット高原からベトナム南部まで延長4425キロメートルにわたって流れる、世界第11位の大河「メコン川」について、流域という観点から取り上げたいと思う。

 メコン川は、利根川よりはるか南方にあるが、同じく源流から東南方向に流れて海に注いでいる(メコン川は南シナ海、利根川は太平洋)。規模的には利根川よりもはるかに大きく、しかも利根川とは異なり基本的に人間の手が入っていない。気候は熱帯である。

 大河といえば、中国の黄河や長江、米国のミシシッピ川のように一国内を流れるものもある。利根川に限らず、島国日本の河川はすべてそうだ。だが、ナイル川やドナウ川のように国々をまたいで流れる国際河川もある。世界的には、むしろ国際河川のほうが当たり前だ。メコン川もまた国際河川であり、流域には中国、ミャンマー、タイ、ラオス、カンボジア、ベトナムの6カ国が含まれる。

6区分で考えるメコン川の流域

 河川は、一般的に上流・中流・下流の3区分で分類するのが普通である。だが、日本における東南アジア史の開拓者の1人であった石井米雄氏は、そのものずばりのタイトルの『メコン』(めこん、1995)で、メコン川は6区分して考えるとよいと述べている。

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