日本が輸出規制に転じた理由、理解してない文在寅 日本にとってのみならず韓国にとっても厄介な「文在寅」問題

(武藤 正敏:元在韓国特命全権大使)

 7月4日、日本は韓国に対し、フッ化ポリイミド、レジスト、エッチングガス(フッ化水素)の3品目で、従来の簡略な輸出手続きを改め、契約ごとに輸出を審査・許可する方式に切り替えた。さらに今年夏には、それ以外の戦略物資についても「ホワイト国」として包括的に許可していた輸出を、個別許可を必要とするように変更することを検討している。

 日本でも大きく報じられたが、韓国ではそれ以上の扱いでメディアに取り上げられている。大騒動と言ってよい。問題はその受け止め方だ。

独善的解釈で問題を拗らせる文在寅政権

 韓国の政府、メディアは一様に、これが「韓国の徴用工問題の取り扱いへの報復措置だ」と反発しており、韓国経済の緊急事態だとして緊張を高めている。しかし、徴用工問題が理由だとしている割には、徴用工問題への対応を検討する訳でもない。

 第一、それは日本がこのような措置を取った正確な理由ではない。問題の本質を理解せず、的外れの反発をするだけでは問題解決への道筋は見えてくるはずもない。

 今後この問題はどうなっていくのか、そして日韓関係は泥沼に陥ってしまうのかを検証してみたい。

これは輸出管理の問題であり、「WTO違反」の批判は当たらない

 日本が今回の措置を導入するのは、上記3品目について「不適切な事案」があったからである。フッ化ポリイミドは化学兵器の製造にも使われ、フッ化水素とレジストは戦闘機やレーダーなどの通常兵器に使われる物質である。それが韓国に輸出され、そこからさらに北朝鮮に流れた疑いが払拭できないと日本政府は見たのだろう。なにしろ、最近の韓国は北朝鮮への異常なまでの接近ぶりを見せてきた。そのような状況下で、北朝鮮に流出しかねない物資を、ほとんど何の制限なく輸出できてしまう状況は、日本の輸出管理の在り方について、国際社会から疑念を突き付けられかねない問題でもあり、早急に対処することが求められていた。韓国をホワイト国から除外する措置についても、同様な懸念があったからなのだ。

 つまりこれらの問題は、そもそも韓国が自国の安全保障の問題としてしっかり規制するべき問題なのだ。だが、文在寅大統領は金正恩・朝鮮労働党委員長のご機嫌ばかり伺い、「米朝の仲介役を下ろされないように」という思惑で動いてきた。このような状況では、日本が韓国への輸出についてより厳重に管理していく以外ない。そうした目的で導入する措置であり、これがWTO協定に違反しないことは明らかである。

 つまり徴用工の問題がこの措置の直接的な理由ではないのだ。

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