中国で教育改革が進むと不動産バブルが終わるワケ 「住むための場所」ではなくなっていた住宅

(姫田 小夏:ジャーナリスト)

 中国・上海に静安区というエリアがある。目抜き通りの南京西路にオフィスビル、ショッピングセンター、ブランドショップ、高級マンションが建ち並ぶ、上海市の一等地だ。中古住宅の平均平米単価は8万元(約128万円)を超え、多くの富裕層が居住することでも知られている。

 実は上海には、住宅がさらに高価なエリアがある。

 地下鉄2号線と7号線が交差する静安寺駅を北上した場所に「海防村」という住宅地がある。海防村では、26棟の低層の集合住宅に365世帯が居住している。建物は決して高級とは言えず、築20年の経年劣化は否めない。一部のバルコニーは塗装が剥げ落ち、物干しなどの金属部分には錆が浮き出ている。

 だが、海防村の中古住宅は驚くべき値段で取引されている。2018年5月時点で平均平米単価は14万6138元(当時のレートで約234万円)。静安区の最新・最高級と言われる中古マンションの約1.8倍だ。同時期に4階南向き47.9平米の物件がなんと700万元(約1億2000万円)で成約していた。

価格が高騰した「重点学校」周辺の住宅

 なぜ、築20年の住宅がこんなに高値で取引されているのだろうか。上海出身の男性に話を聞くことができた。その男性はこう説明する。

「海防村の近くに『上海市静安区 教育学院附属学校』という公立の有名な重点学校(筆者注:中国政府が特に教育に力を入れている進学校)があります。海防村に住んでいると、この学校に入学できるため、誰もが海防村の住宅を欲しがっているのです。私の家の近所に住んでいた人も、子どもが生まれるとすぐに海防村の住宅を購入しました」

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