「共産党関連本排除」で甦るインドネシアの歴史の闇 浮かび上がる、犠牲者100万人ともされる「虐殺の記憶」

(PanAsiaNews:大塚智彦)

 インドネシアのイスラム教団体が、地方の一般書店で法律により非合法とされている共産主義に関連する書籍の調査を実施し、発見した書籍について、店頭から撤去し発行元へ返送するよう書店側に要求していたことが8月6日までに英字紙「ジャカルタ・ポスト」の報道で明らかになった。

 こうした事態に地元の識字運動団体や作家協会などが「表現の自由」に反する行為であると反発し、地元警察もイスラム団体にそうした権限がないことから事実関係の捜査に乗り出している。

イスラム教団体による「禁書狩り」

 スラウェシ島南スラウェシ州の州都マカッサルにある総合商業施設「トランス・モール」の中にある全国チェーンの書店「グラメディア」に8月4日、地元のイスラム教徒を代表するという組織「インドネシア・モスリム旅団(BMI)」のメンバーが押しかけ、書店内にある書籍の「点検」を始めたという。

 メンバーは「法律で禁止されている共産主義、共産党関連の書籍を見つけることが目的」として売り物の書籍の書名、内容などをチェックし始めた。

 地元紙によるとその後メンバーはマルクス主義やレーニン主義に関係する書籍3冊を発見し、書店員に対して店頭から撤去して書籍の発行元に当該書籍を即座に返送するよう要求したという。

 連絡を受けたマカッサル警察が8月5日にBMIの指導者とされるムハマド・ズルキフィル氏から参考人として事情を聞いており、違法行為がなかったか調べている。

 上部機関である南スラウェシ州警察のディッキー・ソンダニ報道官は「地元警察の調査結果を待ってから対応を決める」としながらも、BMIの行為を是認する法律はなく、いずれにしろ違法行為である可能性が高いと地元紙に対して話している。

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