耳を疑うGSOMIA破棄、韓国は「向こう側」へ? 米国はなぜ日韓GSOMIAを必要としたのか

(数多 久遠:小説家・軍事評論家)

 韓国が「日韓秘密軍事情報保護協定(GSOMIA:ジーソミア)」の破棄を決定しました。日本政府にとって想定外の出来事でした。筆者も「どれだけ文政権が愚かでもGSOMIAの破棄はないだろう」と思っていましたので、極めて衝撃的なニュースでした。

 GSOMIAは、防衛関係情報を相互にやり取りするための枠組みで、内容的には、相互に情報をやり取りし、それを第三者には渡さない、とするものです。民間企業間におけるNDA(秘密保持契約)のようなものだと思っていただければほぼ正解です。

 実際に共有する情報は、GSOMIAでは具体的に規定されていませんが、北朝鮮の弾道ミサイルからの防衛が主目的です。

 これは、GSOMIA成立の経緯を見ても分かります。

 日韓GSOMIAは、2010年頃から検討が始まりましたが、実際に締結の見込みになったのは、北朝鮮が沖縄を飛び越え、衛星軌道に物体を投入するミサイル発射実験を2度にわたって行った2012年です。北朝鮮が弾道ミサイル実験を相次いで行ったため慌てて締結しようとしたのです。

 ところが、この締結は、予定時刻の1時間前に韓国側の意向によってキャンセルとなります。李明博政権が、北朝鮮に扇動された国内世論に配慮したためです。

 そして実際に締結されたのは2016年です。この年、北朝鮮は2度にわたる核実験と2012年以降中断していた大陸間弾道ミサイルを開発するための実験を再び行っています。

 つまり、日韓GSOMIAは、北朝鮮の大陸間弾道ミサイル開発に対応するために締結されたものなのです。

関連記事(外部サイト)