ミサイル発射直後の米朝実務者協議、北は何を得るか 東アジア「深層取材ノート」(第6回)

ミサイル発射直後の米朝実務者協議、北は何を得るか 東アジア「深層取材ノート」(第6回)

米朝実務者協議で北朝鮮側の代表を務める金明吉・前駐ベトナム大使(左)。写真は2009年8月、アメリカでニューメキシコ州のビル・リチャードソン知事(当時)と会談した際のもの(写真:AP/アフロ)

 いよいよアメリカと北朝鮮との実務者協議が、ストックホルムで開始する。この地は北朝鮮にとって、「米朝の中間地点」にあり、かつこれまで縁起の良い場所だ。日本との「ストックホルム合意」も、2014年5月にこの地で交わされた(残念ながらいまや雲散霧消してしまったが)。

 6月30日にドナルド・トランプ大統領と金正恩委員長が、板門店で3度目の首脳会談を行い、早期対話で合意した約束が、ようやく果たされることになる。アメリカ側代表は、北朝鮮側から一定の信頼を得ているスティーブ・ビーガン北朝鮮政策特別代表、北朝鮮側代表は、アメリカ担当が長かった金明吉前駐ベトナム大使である。

 トランプ大統領が9月10日、最側近の一人だったジョン・ボルトン大統領安保担当補佐官を更迭したことが、北朝鮮に対して大きなメッセージになったことは間違いない。2月27日、28日の2回目の米朝首脳会談、いわゆる「ハノイの決裂」は、対北朝鮮最強硬派と言われるボルトン補佐官が主導したものだったからだ。

 トランプ大統領としては、イラン問題が暗礁に乗り上げ、先月の国連総会の機会に、ハサン・ロウハニ大統領との歴史的な首脳会談を逃した。さらにその後、民主党からウクライナ問題を巡って、弾劾まで持ち出されて窮地に立っている。そんな中、短期的な外交成果を得たいのである。

北朝鮮でも猛威を振るうアフリカ豚コレラ

 今回の米朝協議のポイントは、北朝鮮にしてみれば、ただの一点、すなわち国連の経済制裁が緩和されるかどうかである。寧辺の核処理施設廃棄と引き換えに、最大限の規制緩和を求めてくるだろう。いわゆる核問題の段階的解決である。

 北朝鮮に対する国連の経済制裁決議は、これまで11回も出されていて、最後に出された「決議」(2017年11月)がダメ押しとなり、北朝鮮は兵糧攻めのような状態に置かれている。私は今年正月、中国の北朝鮮専門家から話を聞いたが、「このまま行けば北朝鮮がもつのはあと2年くらいだろう」と予測していた。

 それを思えば、より窮地に立たされているのは、むしろ金正恩委員長の方と見るべきである。具体的には、食糧問題と朝鮮人民軍の問題が深刻化しているのだ。

関連記事(外部サイト)