中国人アニメーター、日本でスキル高めて続々と帰国 日中間で受発注が逆転、激変するアジアアニメ市場

中国人アニメーター、日本でスキル高めて続々と帰国 日中間で受発注が逆転、激変するアジアアニメ市場

中国・上海にオープンした、漫画「ナルト」に登場するラーメン屋「一楽ラーメン」(2019年2月25日撮影、写真:Imaginechina/アフロ)

(花園 祐:中国在住ジャーナリスト)

 2019年10月、中国メディア「環球時報」は、日本人アニメーターが日本国内における待遇の悪さから、このところ中国の制作会社などに引き抜かれているというニュースを報じました。

 このニュース内容が翻訳されて日本でも報じられると、かねてアニメーターの薄給激務ぶりが報じられていたこともあり、ネット上を中心に日本のアニメ業界の現状を憂う声が広がりました。

 日本のアニメ産業は、今や世界に誇る重要産業です。本当に日本のアニメーターが中国に引き抜かれているのか? 環球時報の報道の真偽、そして日中アニメ業界の現状について、日本のアニメ業界関係者に話を聞いてきました。

中国企業による引き抜きは起きているのか

 話をしてくれたのは、日中間を跨いだアニメ制作に広く携わる、日系アニメ制作会社のAさんです。まず、日本人アニメーターが中国に流出しているという報道について尋ねたところ、開口一番、「少なくとも自分の周りでは、中国企業に引き抜かれて中国に拠点を移した日本人アニメーターはいない」という意外な回答が返ってきました。

 Aさんによると、中国のアニメーターの賃金水準は上昇し続けているとはいえ、現状ではまだ日本の水準の方が上回っているそうです。また労働環境を見ても、日本同様にアニメーター職は休日出勤、徹夜作業がザラという状況で、程度の差こそあれ日本の現場と激務ぶりはあまり変わらないとのことです。

 このほか、中国の生活環境や文化面の違いも、日本人にとっては中国に生活拠点を移すことを阻む要因になるとのこと。さらに、現在フリーランスの日本人アニメーターなどが日本国内にいながら中国案件の仕事を受注しています。わざわざ仕事のために中国に身を置く必要はないというわけです。

 そのため、現時点では日本人アニメーターの中国流出はけっして多くはないといいます。Aさんは「今後も広がるとはあまり考えられず、あっても一定段階で止まるのではないか」と語っていました。

実態は「中国人アニメーターのUターン」

 一方、近年、頻繁に見られるようになってきたのは、日本で経験を積んだ中国人アニメーターが中国に戻るというケースだそうです。

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