中国で突然生まれる超巨大市場を見逃すな インフラ整備の遅れが逆に最先端市場を拓く「馬跳び」型発展

中国で突然生まれる超巨大市場を見逃すな インフラ整備の遅れが逆に最先端市場を拓く「馬跳び」型発展

QRコード決済の落とし穴、中国

1.上海のタクシー事情から実感するスマホ社会

 2、3年ほど前から上海出張時に流しのタクシーがつかまえにくくなった。この10年、出張で年数回以上、上海を訪問しているが、以前は上海でタクシーをつかまえるのは難しいことではなかった。料金も安く、気軽で便利な交通手段だった。

 北京や地方都市では流しのタクシーを拾うのは以前からかなり難しかったため、面談場所に時間通りに到着するには地下鉄を利用するか、ハイヤーを雇う必要があった。しかし、上海では比較的容易にタクシーがつかまえられていたので、その必要を感じなかった。

 ところが、2、3年前から事情が変わった。ある日、タクシーが拾えなかったために、1日のうち3回も面談に遅刻した。以後、上海でも市内移動にはハイヤーを雇うことにした。

 この間、北京のタクシー事情はさらに悪化し、以前であれば夕食会が終わった後、10分から20分待てば拾えていたタクシーが、今は1時間待っても拾えないことが珍しくない。このため、最近は夕食会の後は地下鉄で移動するしかなくなった(北京の場合、最寄りの地下鉄の駅まで1キロ前後歩くことがよくある)。

 このような変化の背景にあるのはスマホを利用したタクシー配車サービスの普及である。

 都市に住む一般の中国人はこの2、3年、タクシーを呼ぶのにスマホを使うのが当たり前になっている。このため、客を乗せていないタクシーもスマホで呼ばれた客のところに向かっていることが多く、手を挙げても止まってくれない。流しのタクシーをつかまえるのは非常に難しくなった。

 中国で高い市場シェアを有する中国版ウーバー(ウーバー自身は昨年中国市場から撤退)である「滴滴出行」のアプリを使えば、タクシー以外にも自家用車やハイヤーも呼べる。ただし、タクシー以外は現金決済が認められていないため、出張者の利用は難しい。

 中国人は、タクシーがつかまりにくい夕食後の時間帯は、このサービスを使ってタクシー以外の車をつかまえている。その場合、決済は現金ではなく、中国系クレジットカードまたはスマホの決済アプリで行う。

 外国人出張者は中国の金融機関に口座を持っていないため、これらの決済手段を利用することができない。

 以上のようなサービスがこの2、3年の間に北京、上海などの主要都市で急速に発展したため、スマホを持っていないとタクシーが拾えなくなってしまったのである。中国人にとっては利便性の大幅な向上であるが、決済手段が限られている外国人にとっては以前の方が便利だったように感じる。

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