日米貿易交渉から読み解く「アメリカの対日戦略」 TPPを蹴ったトランプが、日米「物品貿易協定」で狙うもの

(舛添要一:国際政治学者)

 4月15、16日、ワシントンで日米貿易協定交渉の初会合が開かれた。茂木敏充経済再生大臣とUSTR(米通商代表部)のライトハイザー代表の間で、自動車や農産物の関税削減・撤廃について議論を開始することが決まった。また、電子商取引などのデジタル貿易について協議を始めることも合意した。

円売り介入抑制を目論む「為替条項」

 トランプ大統領はTPPから離脱したが、TPPは残る11カ国で発効し、日欧EPAも発効している。このため、日本のスーパーでは、チリ、オーストラリア、欧州のワイン、チーズ、肉などが安価に販売されるようになったが、その恩恵を受けないアメリカの農産物は、日本市場で不利な扱いを受けることになった。

 再選を狙うトランプ大統領としては、この状況を打開し、具体的な形の成果を得て、農業関連票を獲得したい狙いがある。そのため、米側はTPP水準以上の自由化を要求したが、昨年9月の日米首脳会談の共同声明では、「TPPや日欧EPAなど過去に締結した協定の水準が最大限」と記されており、この線に沿って合意がなされている。

 トランプ政権としては、TPP水準以上を望むよりは、少しでも早くTPP並みの関税引き下げを実現するほうが、支持率上昇に資すると考えたのであろう。それは農産物のみならず、自動車などの工業品でも同様で、数量制限という主張は控えて、関税引き下げを求める交渉になっている。自動車産業の盛んな中西部はトランプの票田でもある。

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