【ラオス】米軍投下の不発弾処理にオバマ大統領が支援を表明 関係者はどう見るのか

【ラオス】米軍投下の不発弾処理にオバマ大統領が支援を表明 関係者はどう見るのか

JMASの講習会で展示された、ラオス国内に米軍が投下したクラスター爆弾の子爆弾各種のサンプル。(撮影:高田胤臣)

 2016年9月25日、東南アジアの内陸国ラオス人民民主共和国を今月6日に現役米国大統領として初めて訪れていたオバマ大統領が、ラオス国内に眠る大量の不発弾の処理にかかる費用を支援することを表明した。向こう3年間に渡り約9000万ドル、日本円にして90億円におよぶ支援となる。

 ラオスは国民一人当たりの被爆撃数が世界で最も多いとされる。特に隣国で発生したベトナム戦争に関係して、1964年から1973年ごろにラオス北部の一部とラオス南部に米軍によって200万トンに相当する爆撃が行われた影響が強い。ラオスを共産化しようとする勢力の拠点や、ラオス国内を秘密裏に通過していた北ベトナムの補給路、いわゆるホーチミンルートを狙った爆撃だった。

 投下された爆弾の中には数百発の子爆弾を抱えて広範囲を攻撃するクラスター爆弾も含まれており、統計的にこれらの3割が不発弾となっていると言われている。クラスター爆弾の子爆弾は特殊な形状をしているため、地域の子どもたちが拾ってしまうことで爆発が起きることもあれば、地中に埋まっていることを知らずに農夫などが開墾する際にクワで叩いて炸裂してしまう。つまり、戦後不発弾の犠牲になってきたのは民間人ばかりで、1964年から2008年の不発弾による死傷者は計5万人にも及ぶ。また、2000年から2011年だけでも死者が約2600人。年間200人以上もの市民が亡くなっている。

 現在も国土の3分の1以上が不発弾に汚染されており、1996年にラオス政府が不発弾処理機関「UXOラオ」を創設して処理を始めて20年が経った現在もいまだ全体の1%程度しか処理は進んでいないとされる。投下された地域のほとんどが山岳地帯のため、カンボジアの地雷問題のようにブルドーザーを改造したような大型機械で処理することもできず、今のペースではラオス国内が安全化されるのに200年以上もの時間を要するという試算もある。

 米国はこれまでも支援は行ってきた。しかし、この20年間でおよそ1億ドル程度でしかない。また、ラオス政府は企業などが土地を利用する際には安全かどうかの確認を義務づけており、それがラオス経済が成長しない原因のひとつにもなっている。そのため、ラオス政府自体も不発弾処理にかける資金捻出が困難な状況が続いており、今回の支援は歓迎していると見られる。

 ラオス国内における不発弾処理はUXOラオが中心になるが、欧米のNGOやラオスの民間企業でも行われている。その中には日本の認定特定非営利活動法人「日本地雷処理を支援する会(JMAS)」もある。今回の米国の支援表明に関して、JMASラオス支部の關(せき)廣明氏を通して現地関係者の意見を伺った。

 ――支援表明の情報を入手された際、率直にどのように感じましたか

 「2年ほど前から協同相手であるUXOLaoが資金不足となり処理チーム数の削減が始まったことを聞いていましたので、負の遺産を残した米国が支援を増大させるべきだと思っていました。ですので、今回の増額は歓迎ですが、3年間で90億円に限らず、さらに長期に渡って安定的に資金提供をすべきだと思います」

 ――米国の支援をラオス政府はどのように活用すると見ておりますか

 「開発重点地域の処理の促進や被害者救済と支援などに幅広く使われるのではないかと思います。米国政府がしっかりとした資金管理組織を保有していますので、ラオス国内でもそれなりに適正に監理されるのではないでしょうか」

 最後にこれまでのペースでは200年以上はかかるとも言われていた中で米国の支援が適正に利用された場合、どれくらいの期間にまで短縮できる見込みかを訊いた。

 「わかりません。現在は外国の処理組織は我々JMASのほか、欧州NGOが中心です。今後は米国も資金のみならず、自国組織や最新機械の投入で処理の加速化に貢献する必要があるのではないでしょうか」

 不発弾の現場を目の当たりにしてきたプロにとって、ラオスの汚染状況が深刻であることは誰よりも詳しく知っている。資金提供だけでなく、多角的に継続した支援がないとラオスの国民たちに真の平和が訪れることはない。

【執筆:高田胤臣】

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