ラオスの農業政策 -ラオスが目指す「クリーン農業」と商業的生産農業の実現に向けて-

ラオスの農業政策 -ラオスが目指す「クリーン農業」と商業的生産農業の実現に向けて-

JICA農業政策アドバイザーに聞くラオスの農業政策

 2018年5月29日、JICAラオス事務所発行のニュースレター"LAOS UPDATE Vol.23に『JICA農業政策アドバイザーに聞くラオスの農業政策 -ラオスが目指す「クリーン農業」と商業的生産農業の実現に向けて-』が掲載された。

(記事)ラオスの国民は約7割が何らかの形で農業に関与していますが、ラオスの農業政策はどのような方向を目指しているのでしょうか。JICAによる具体的な貢献に触れつつ、その一端をご紹介したいと思います。

 現在のラオスの農林業政策は、第8次農業林業開発計画に基づいて進められています。2017年に農林省の組織改編が決定され、農林行政を農林省に一元化するとともに、地域開発行政も同省に統合されることになりました。この組織改編を踏まえ、農林省は(1)国家食料安全保障、(2)商業的農業生産、(3)森林・森林資源管理及び開発、そして(4)地域開発及び貧困撲滅の4つのプログラムに基づいて政策を進めようとしています。

 農業に直接関連する上記(1)及び(2)のプログラムは以前から農林省が取り組んできている政策課題ですが、2000年前後に米の自給を達成してからは、徐々に(2)に重点が移りつつあります。米については、2020年までに470万トンの生産を達成し、このうち100万トンを国内販売及び輸出に振り分けるとしています。しかし、中国への本格的な米の輸出を2015年から開始しているものの品質基準を満たすことができず、中国からの割り当て数量を大きく下回る量しか輸出できていません。また、農林省は、有機農業、農業生産工程管理(GAP)などによる「クリーン農業」を強力に推進しています。ラオスでは、化学肥料や農薬が多投された農地が未だ少ないという現状を活かした政策と言えます。有機農業は、首都ビエンチャンなどで生産者の取組が進み、一方で有機農産物を選好する国内の消費者も増えつつありますが、今後さらに有機農産物生産と併せてその市場の拡大も着実に進めていく必要があります。このような現状を踏まえ、JICAでは、2017年からサバナケット県における灌漑農業及び首都ビエンチャンを含む4都県におけるクリーン農業発展のための技術協力を行っています。両協力とも農業生産面のみならず、市場までを見据えた活動を展開することとしています。

 また、商業的農業生産の促進には民間企業の関与は欠かせません。民間企業からの要請に応えることを繰り返すことにより生産者が鍛えられ、競争力のある産品を提供できるようになるからです。日本には進んだ技術により品質や付加価値の高い農産物及び加工食品を生産している企業が多数存在します。このような日本企業のラオスにおけるビジネス展開を支援するため、2017年に在ラオス日本国大使館、JETRO及びJICA(いわゆる3J)が連携して「ラオス農業ビジネスプラットフォーム(LABP)」を立ち上げました。LABPでは、農業ビジネスに関連する情報提供・共有の他、3Jによる支援策や試験栽培に関する相談に応じるなどの活動を行っていくこととしています。

 先に農林省組織改編について触れましたが、同省は商業的農業生産のような様々な分野に跨る課題について、客観的な実態把握に基づき、効果的に政策・法律の形成・実行が行われるよう政策・法務局という新組織を設立しました。しかし、これを実現するための具体的な職務や体制についての知見を必要としています。同省からの支援要請を受け、JICAは同省幹部が日本における政策形成や調整のための仕組みを学ぶ機会を提供し、新組織づくりに役立てていただきました。 ラオスの農業は着実に発展を遂げつつありますが、未だ栄養状態の改善が必要な地域が存在し、一方で、都市近郊では若い世代の農業離れの問題も生じています。先に述べた商業的農業生産の促進も含め、農業セクターだけでは解決・改善できないこれらの問題にJICAとしても幅広い分野の力を集めて対応していく必要があるように思います。
【執筆:瀬尾充JICA農業政策アドバイザー】

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