【インド経済トピックス】間接税の全国一本化から1年ーHSBC投信

【インド経済トピックス】間接税の全国一本化から1年ーHSBC投信

インドのイメージ

 2018年8月31日、HSBC投信は、インドの税制に関するレポートを伝えた。

(レポート)インドは8月15日に71回目の独立記念日を祝ったが、それに先立つ7月に独立以来最大の税制改革となった物品サービス税(GST=Goods and Services Tax)の導入1周年を迎えていた。この大胆な改革は実現までに17年の歳月を要したが、中央政府、州政府、地方政府がそれぞれ課してきた複雑な間接税は全国的に一本化された。

 間接税の一本化には課税対象者による全国的なGST登録、ITインフラネットワーク(GSTN)を使ったインボイスのオンライン申告などが不可欠である。それに加えて、GST規則の明確化や変更がなされたことも混乱につながった。その結果、GSTの滑り出しは予想どおり順調とは程遠いものとなった。

 しかし、当初の混乱にもかかわらず、最近では、間接税統一のメリットや今後の可能性に関する認識が広がりつつある。実際に、GST登録業者数はこの1年で増え続け、直近数カ月ではGST税収が安定傾向にある。

 GST導入当初は準備不足、ITインフラのトラブル、登録手続きの複雑さなどから混乱が生じたが、そうした初期の不具合はインド政府の税制改革へのひたむきな努力と状況変化への柔軟な対応が奏功し解決されているのが現状である。

 課税対象者によるGST登録手続きは簡素化された。以前の手続きでは関連書類の物理的な提出が必要だったが、GST導入により完全なオンライン登録が可能になった。もちろん、オンライン化が遅れていた中小企業が新制度を習熟するまでには若干時間がかかった。GST評議会は中小企業のGSTコンプライアンスの負担を軽減するとともに、物品の州間移動の効率化を図るために「eウェイビル(e-way bill=電子貨物運送状)」を導入した。

 政府は2017年10月以降、GST税率の見直しに取り組んでいる。GST税率区分のうち最高税率28%が適用されてきた200品目以上が18%に区分替えされた。政府は、GST評議会の判断を仰ぎながら様々な物品とサービスについて税区分の見直しを続ける方針を明言している。

完全な効率性実現までの道のりはまだ長い

 導入当初の混乱にもかかわらずGSTが定着し、インド経済に様々な変化をもたらしている兆候はいくつもある。例えば、別の州に入るための州境検査を受ける貨物自動車の長い列はなくなった。過去20カ月でみると、高額紙幣廃止に加えて、当初こそ混乱があったGSTも月別税収がこの数ヶ月は安定してきており、インドの税基盤は著しく拡大したと言える。

 但し、GSTのこれまで実績は評価に値するが、GSTが完全な効率性を実現するまでには長い道のりがあり、解決しなければならない問題は多い。

 GST評議会がGSTに関連する問題についていくつかの解決策を打ち出してきたのは事実だが、GSTの登録とコンプライアンスの一層の簡素化は課税基盤の拡大のために不可欠である。2018年末までに申告方式が簡素化されると見込む向きもある。

 また、単一税率は実現不可能だとしても、税率区分の合理化と効率化のための見直しを行う余地はありそうだ。実際、現在、6段階の税率区分があるが、ほとんどの物品は12%、18%、28%の3段階が適用されている。

 輸出業者、特に小規模企業によるGST還付手続きも煩雑で問題が多い。規模の小さな会社の場合、還付請求手続きが経費増を招いているという指摘がある。手続きを簡素化する動きはあるが、さらなる議論と解決策が求められている。

 GSTは全物品を対象としているわけではない。インドが、間接税について本当の意味の「一国一税」制度を実現するには、現在、GSTの対象に含まれない石油、不動産、電力、酒類等をGST課税リストに組み入れるロードマップも必要だろう。

【編集:KM】

関連記事(外部サイト)