HSBC投信-インド債券市場:投資チャンスと留意点・運用担当者への単独インタビュー 1.

HSBC投信-インド債券市場:投資チャンスと留意点・運用担当者への単独インタビュー 1.

インドのイメージ

 2018年9月19日、HSBC投信は、「インド債券市場:投資チャンスと留意点・運用担当者への単独インタビュー」と題するレポートを伝えた。インタビューに登場するのは、ゴードン・ロドリゲス アジア債券運用チーム 金利・為替戦略責任者。

 インドでは、2018年初以来、債券利回りが上昇し、通貨が下落している。これは他の新興国市場にも共通するものだが、インドでは経済ファンダメンタルズが過去数年にわたり著しく改善し、他の多くの新興国市場を凌駕している。今後は通貨の安定が見込まれることや、投資適格級の債券市場としては高い利回りを確保できることから、インド債券市場に投資機会が到来していると考える。

 本レポートでは、当社のアジア債券運用責任者のゴードン・ロドリゲスが、今後のインドの債券市場の見通しや留意点について述べる。

主なポイント

 経済:インドでは経済が力強く成長しているだけでなく、過去2ヶ月にわたりインフレ率は低下しインド準備銀行(中央銀行)が目標とする前年比4%の水準に到達している。また、中央銀行が6月と8月に2会合連続で利上げを実施したことは、インフレ抑制を最優先する中央銀行への信認を高め、その独立性を示すものであった。

 市場: インド市場の動揺の大半は、新興国市場に対するリスク回避の動きが伝染したことによるものだろう。しかし、インドはこの動きに十分に耐え得る状態にあり、世界的に市場が安定化すればインド市場は大きく回復する可能性がある。

 バリュエーション:インド10年国債利回りは本稿執筆時点(9月11日)で8.0%を上回り、2014年以来最高水準にある。投資適格級を付与されたインドの債券市場は、極めて魅力的であると当社は考える。

 インドの債券市場とインドルピーがこのところ弱含んでいる理由は?

ここ数週間は、トルコやアルゼンチンを発生源とする新興国市場の下落がインド市場に影響していることは間違いない。しかし、最も大きな影響を受けている国々とインドとは経済のファンダメンタルズにおいて全く異なり、インドはそれらの国々よりもインフレ率が大幅に低く、経常赤字もはるかに小さい。

 原油価格の上昇は、石油需要の約80%を輸入に依存するインドにおいては常に問題となる。原油価格が上昇すれば経常収支赤字は拡大しインフレ率は上昇する傾向にあり、それがインドルピー相場や債券市場にマイナスの影響を及ぼす。しかし、その他の要因は過去2ヶ月にわたりインフレ率を低下させる方向に働いている。また、中央銀行がインフレ期待を抑制するために利上げを実施したことは歓迎すべき措置と当社は考えている。

 2019年5月までに行われる総選挙を巡る不透明感も、一部の投資家にとり懸念材料となっている。しかし、実際には総選挙の結果が国内経済や債券市場にマイナスの影響を及ぼすとみる根拠は乏しく、また、こうした政治イベントに対する見方が過度に弱気に傾いた結果、投資家に良好な投資機会がもたらされることもある。

 一段の利上げはあるか?

 追加利上げの可能性は残されている。しかし、債券市場を見る上で、以下の二点を念頭に置く必要がある。一つは、中央銀行は、国内経済の強さが需要と供給の不均衡やインフレ圧力の高まりに繋がる可能性があることを利上げの主な根拠としている。従って、利上げにより国内経済のファンダメンタルズが悪化することはないとも言える。二つ目として、将来的な利上げは既に市場に織り込まれ、債券利回りが一段の利上げを想定した水準になっているという点も指摘すべきだろう。政策金利と10年物国債利回りとの格差は1.5%前後であり、過去5年間で最大となっている。

 また、6月と8月に2会合連続の利上げを行った後だけに、中央銀行はその影響を見極めるため、当面は様子見姿勢を続けることが考えられる。その間にインフレ率が低下を続け、国内経済が弱含めば、今回の金融引き締めサイクルでの利上げが打ち止めとなる可能性もある。

 インドルピーは安定化するか?

 インドルピーの対米ドル相場は過去最低水準にあり、年初から12%前後下落した。原油価格の平均が1バレル当たり75米ドルで推移すれば、経常赤字の対GDP比は2017年度(2017年4月-2018年3月)の1.9%から2018年度には2.7%へ拡大することが見込まれる。原油高と直近の新興国市場下落の波及効果によって、インドの国際収支は恐らく5年振りに赤字に転じるだろう。来年には改善が予想されるものの、国際収支の悪化は為替レートの見通しに悪影響を及ぼすだろう。

 しかしながら、インドの外貨準備高は潤沢であり、8月末時点で4,000億米ドル程度の水準にある。これはインドルピーが堅調に推移していた過去数年にわたりインドが着実に外貨準備を蓄積してきた結果である。この外貨準備が通貨安を緩和し、相場が下落した際には大きな支えとなる。また、投資家のリスク選好度が強まり、米ドル安が進行すれば、インドルピーは上昇が見込める。

【編集:KH】

関連記事(外部サイト)