バニラエア・セブ線運休に、ジェットスター・マニラ線好調、明暗分けたLCCフィリピン路線

バニラエア・セブ線運休に、ジェットスター・マニラ線好調、明暗分けたLCCフィリピン路線

マニラ線好調のジェットスター(成田発マニラ行きGK41便のクルー・2018年10月21日マニラ到着時に撮影)

 2018年10月27日のフライトを最後に、ANAが100%出資するLCCバニラエアは、成田―セブ線を運休した。目標としていた搭乗率85%が達成されず、80%にとどまったことが主な原因。

 一方カンタス航空とともにJALが出資者として名を連ねるLCCジェットスター・ジャパンが運航する成田―マニラ線は、この8月からフィリピン人短期滞在者の訪日ビザの要件が緩和されたことも手伝って、フィリピンからのインバウンド観光客が増えているという。同社は今年6月の決算で3期連続で最終黒字を達成したと発表。平均搭乗率は、2ポイント上昇し87%だという。

 LCCの採算ラインとなる搭乗率(航空経営研究所 調べ)は、所有機材数や運航路線の距離、総座席数に対する収益によって各社で異なるが、レガシーキャリアでは6割程度、LCCでは8割程度と言われている。バニラエアは長距離路線が多いため、採算ラインとなる搭乗率は86%であるのに対し、ジェットスター・ジャパンは84%。ちなみに日本のLCCで最も利益を上げているピーチ・アビエーションの採算ラインは74%である。

 これらの数字を見ると、今回運休となったバニラエアの成田―セブ線の搭乗率80%が、搭乗率としては決して低かったわけではないことがわかる。ただ、会社全体の各路線の運航距離や搭乗率によって変化するイールド(旅客一人に対する1キロあたりの収入単価)管理は複雑で難しく、数%の搭乗率の差が赤字路線か収益路線かの明暗を分けることになる。

 非常にシビアな競争の中、上記主要日系LCC3社は2018年に発表した決算でともに黒字化を達成している。そして、2019年にはANAが持つ二つの子会社、バニラエアとピーチエアラインが統合され、2020年にはJALが100%出資する子会社である中距離LCCが産声をあげる予定だ。群雄割拠の時代を迎える日系LCCのフィリピン路線は、安定経営を続けるフィリピン系LCCセブパシフィックの存在感を傍目に、今後も熾烈な競争を繰り広げていくだろう。
【編集:山田愛】