イランEビザの発行開始、観光促進への起爆剤となるか

イランEビザの発行開始、観光促進への起爆剤となるか

ピンクモスクとして知られるシーラーズにあるナスィール・オル・モルク・モスク(写真提供: イラン文化遺産・手工芸・観光協会)

 2018年10月24日、駐日イラン・イスラム共和国大使館で、観光デスティネーションセミナーが開催された。

 このセミナーは23日から始まった日本国籍保持者への電子ビザ発行に併せて行われ、このためにイランから日本を訪れた観光事業関係者や、イラン6都市とトルコ・イスタンブールを結ぶターキッシュエアラインズが、イランへの観光客誘致のためのPRを行った。

 観光庁副長官だった経歴を持つモルテザ・ラフマーニ・モヴァッヘド駐日大使は「日本とイランとのつながりは奈良時代にまで遡り、現在も奈良の正倉院に納められている紺碧のペルシャグラス『瑠璃杯(るりのつき)』に見ることができる。観光交流は互いの国を誤解なく正しく理解できる重要な平和産業だ。イランで文化度の高い国民として知られる日本人観光客を少しでも多く迎え入れるため、観光イベントの開催や国内での観光インフラのブラッシュアップを図っている」と語った。

 来年2019年には日本イラン国交樹立90周年を迎える。これを機にイラン側は、観光振興や文化交流に力を入れたいとする。イランは中東で最も多くの23もの世界遺産を持ち、親日感情も強い。同時に女性が一人歩きできるほど安全で治安のいい国とされ、日本の観光事業関係者もニューデスティネーションとしての高いポテンシャルを評価している。その反面、昨今のイスラム世界全体へのきな臭いイメージの影響か、日本人観光客数は伸び悩んでいる。

 これまでイランを訪れる日本人観光客はパスポートに直接貼り付けられるビザが必要だったが、一度きりの入国に有効なシングルビザが電子ビザに切り替わったことでインターネット上での申請のみで手続きが完了し、ビザは別紙で発行されるようになった。手続きの簡易化という利点のみならず、イラン出入国の記録がパスポートに残らないため、イランを政治的にけん制する国へ出入国する場合のハードルが下がる点も、イランへのアウトバウンドを促進する材料の一つになると見られる。イランは現在米国による経済制裁下にあるが、観光客を呼び込むことで草の根レベルでの文化交流による両国の相互理解に努め、日本との友好関係を保持したい考えだ。
【編集:山田愛】

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