非常事態令下で生き残りをかけるバンコクの日本料理店

非常事態令下で生き残りをかけるバンコクの日本料理店

感染防止の市民意識は高く、自発的にソーシャルディスタンスで並ぶ人々

 2020年4月17日、タイに非常事態令が発出されて以来、様々な業種の企業が前代未聞の事態の中で必死に戦っている。中でも小資本経営が多い日本料理店は、持ち帰りと宅配だけに制限された営業となり閉店を余儀なくされた店も少なくない。その中で開店早々にこんな事態に巻き込まれた店舗を取材した。

 3月26日に非常事態令が発布され、4月2日には夜間外出禁止になるなど、新型コロナ感染拡大に対して、徹底した防止策を打ち出しているタイ。その中で在タイの日系企業は、生き残りをかけて必死の努力を続けている。また、市民の意識は高く、通勤時や並ぶ際にも自発的にソーシャルディスタンスを保つ行動が随所に見られる。それらの甲斐あってか、タイ国内に限れば感染者増加数は大幅に減りつつある。しかし、隣接国などの状況を踏まえると予定通りに解除されるかどうかは、まだ微妙と言わざるを得ない。

 今回取材した田中水産は、今年初頭にバンコク郊外のバンナーに1号店を出店。定額制で時間内なら何皿でもおかわり自由という食べ放題スタイルで人気を集めた。タイ人客にも話題となり、都外からわざわざ来店する人も少なくなかったという。満を持して3月末に日本人が多く住むトンロー地区に2号店を開店した矢先に非常事態令が出てしまったのだ。

 これからという時に出鼻をくじかれたものの、店はすぐに宅配と持ち帰りメニューに切り替える対応は素早かった。施行当日には、宅配の体制を整えつつメニューも刷新した。その甲斐あってか、家に足止めを余儀なくされている多くの日本人在住者から注文が入ってくるようになったという。

 取材に対して佐々木傑人代表は、次のように話した。「開店してすぐに非常事態になってしまい、一時はどうなるかとも思いました。しかし、仕入先や関係先からのご協力と知人友人の皆様から温かいご支援もあり、大急ぎで体制を整えることができた感じです。夜間外出禁止にもなってしまったので、まだ先が見えない状態で予断を許さないですね。」と不安げな様子。

 しかし、「開店早々の惨事にお客さんから美味しかったと言われるのが何より嬉しいですね。中でも在住のユーチューバーが食レポしてくれたのは、最高の励みになってます。」

 日本では補償問題などが絡んで、対応が後手後手に回っている現在。タイでは、何の補償もなくいきなりの非常事態に外出禁止と状況的には、経営者にとっては致命的とも思われる事態になっている。その中で少しでも活路を見出すべく踏ん張っている日本人起業家も少なくない。しかし、同じく不便を強いられている在住日本人も、客として店を応援しようという見えない連帯感が生まれつつあるようだ。

【取材/写真:Ts】

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