コロナ禍の中でくいしばった韓国の医療人

コロナ禍の中でくいしばった韓国の医療人

ソウル空港 入国前の検疫チェック列(2020年6月撮影)

 2020年6月、日本でもたくさんの医療人が、コロナの最前線でがんばっている。その姿と併せて考えて欲しい。

 韓国首都圏の保健所で医師として働いていた金さんは、精根尽きて退職の道を選んだ。今年2月中旬から、1日の休みもなかった。朝8時から夜10時まで検査を行った。入国者検査などの非常事態に備え、週末も保健所で待機した。保健所に勤務する医師は金さん1人だけ。選別診察所は、金さんに全て任せられた。1日350人を診る。感染症でなければこなせない数ではない。ただ充分に診療できるかと言うと、流れ作業になってしまう。医師の増員を訴えたが、時間外手当日本円で1300円出しても勤務するという医師は出てこなかった。それは、自分の命の方が大切だからだ。

 韓国全土の保健所は256カ所。働く医師は788人。人口6万5800人に1人の割合だ。金さんは、寝ても気力が回復しなくなった。涙が止まらなくなった。「バーンアウト」したのだ。

 看護師の李さんは、20年間の看護師生活を公開した。採血や投薬、おむつ交換。新型コロナ患者の生活の世話は看護師に委ねられる。激しい肉体的・精神的ストレスが彼女を襲った。医師のように診察所に詰めてなくてもいいとはいえ、家庭において家族に染すわけにはいかない。大勢の看護師が、我先にと離職した。責任感の強い李さんは、1人で20人のケアを担当した。コロナではなく、認知症になって病院に姥捨てされた老人たちの世話も重くのしかかった。コロナ患者と、認知症患者はわけて収容しなければならないのに、認知症患者は今起きていることが理解できないのだ。

 免疫力が落ちて疲れ果てた。「政府の絵にかいた餅。医療スタッフの『おかげさまチャレンジ』キャンペーンなんかいらない。第2波に備えた看護スタッフの準備と手当てを支援すべきだ」。李さんは、今、気力だけで勤務を続けている。それでも、なぜ、自己責任で罹患した若者たちを診なければならないのかと理不尽さに苛立っている。

 日本の病院は、コロナを診る病院以外は、正直閑古鳥が鳴いている。もしや罹患したらという意識が強くなって、毎日のコミュニケーションの場にしている年寄りが行かないからだ。ちょっと体調が悪くてコンビニ受診をしている人も行かなくなった。医師を始め医療関係者が、生活習慣病の薬だけで完了する患者に特例で、2カ月単位で薬を出し、来させないようにしている。今は売り上げより、自分の病院から罹患者を出せないというわけだ。

 韓国のコロナ指定病院の医師や看護師、スタッフの家族は、いわれなきいじめにあってもいる。こう頑張っている人を叩くのは、人間の性なのか。韓国人は特に言葉がきつい。今は、罵倒よりも、感謝が必要だろう。
【編集:fa】

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