スパイウエア、仏大統領も標的か=記者、政治家の情報抜き取り―イスラエル企業開発

スパイウエア、仏大統領も標的か=記者、政治家の情報抜き取り―イスラエル企業開発

フランスのマクロン大統領=19日、パリ(EPA時事)

 イスラエルの民間企業「NSOグループ」が開発したスパイウエアが専制国家などで利用され、各国の記者や政治家らのスマートフォンから情報を抜き取っていたとされる疑惑が波紋を呼んでいる。フランスのマクロン大統領が標的だった可能性も浮上し、関係国は警戒を強めている。

 スパイウエアの名称は「ペガサス」。NSOが犯罪抑止やテロリスト監視を目的に開発したソフトウエアとされる。だが、偽サイトに通じるリンク先にアクセスするなどしてペガサスが勝手にダウンロードされると、端末に保存されている通話記録やメール、画像や位置情報などを攻撃者が持ち主に気付かれずに抜き取れるようになるという。

 米紙ワシントン・ポストや英紙ガーディアンは18日、各国の記者やNGO活動家、企業家、政府要人らが保有するスマホの情報がペガサスによって監視されている疑惑を報道。国際人権団体などが入手したリストでは、狙われた可能性のある電話番号は2016年以降、5万件に上るという。

 報道によれば、標的にはマクロン氏に加え、欧州連合(EU)のミシェル大統領(ベルギー首相当時)、パキスタンのカーン首相、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長らのほか、イラン核合意交渉に携わった米国のマレー・イラン担当特使も含まれていた。

 NSOは自社サイトで、同社の製品が「政府の諜報(ちょうほう)機関や法執行機関が世界で最も危険な問題に合法的に取り組むことを支援する」と説明。各国の政府当局が顧客であることを明らかにしている。実態は不明だが、報道の自由に抑圧的な専制国家が、体制に批判的な記者や、対立関係にある政府要人の監視などを目的にペガサスを悪用している可能性が指摘される。

 AFP通信は20日、モロッコの情報機関がペガサスを利用して複数の仏ジャーナリストを監視していたとして、仏司法当局が捜査に着手したと報じた。仏大統領府は、マクロン氏に関する報道が事実なら「非常に深刻だ」と懸念を表明しており、疑惑解明の必要性を訴えた。

 モロッコ当局は「通信機器に侵入するソフトウエアを入手したことはない」と事実関係を認めていない。 【時事通信社】