米中新たな対立構造=冷戦終結30年―揺らぐ国際秩序

米中新たな対立構造=冷戦終結30年―揺らぐ国際秩序

首脳会談後、記者会見するブッシュ米大統領(左)とゴルバチョフ・ソ連大統領=1991年7月、モスクワ(AFP時事)

 【ワシントン時事】米国と旧ソ連の首脳がマルタ会談で冷戦終結を宣言してから3日で30年。米国が冷戦後に旧共産圏への拡大を目指した「リベラルな国際秩序」は揺らいでいる。米国とロシアの関係は悪化し、「新冷戦」と目される米国と中国による覇権争いの対立構造も形成されつつある。「米国第一」を掲げ、多国間協調に消極的なトランプ大統領の登場で国際情勢の混迷に拍車を掛けている。

 ◇「1強」の指導力低下

 1989年12月のマルタ会談で冷戦終結に導いたブッシュ(父)米大統領(当時)は「新世界秩序の構築」を唱え、旧ソ連の崩壊で「1強」となった米国が主導する国際体制による平和の実現を思い描いた。だが、そのもくろみとは裏腹に米ロ対立は2014年のウクライナ紛争を契機に激化。中距離核戦力(INF)全廃条約の失効など、冷戦末期に進んだ核軍縮に逆行する動きも出ている。

 さらに「未来はグローバル主義者でなく愛国主義者のものだ」と訴え、「米国第一」を追求するトランプ氏の登場で、国際法や多国間協調を重視する「リベラルな国際秩序」自体も危機にさらされている。17年1月の就任以来、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」や環太平洋連携協定(TPP)、国連人権理事会などから脱退を表明。国際協調よりも米国の利害を優先する姿勢を取り続けているためだ。

 トランプ氏は、シリアやアフガニスタンからの米軍撤収を公約に掲げ、冷戦期に築いた北大西洋条約機構(NATO)などの同盟についても「米国を利用してきた」と批判を強めている。同盟の結束が揺らぎ、米国の指導力低下が加速する可能性もある。

 ◇戦略描かぬトランプ氏

 「米中は冷戦の麓にいる」。キッシンジャー元国務長官は先月、北京の経済フォーラムでこう語り、貿易摩擦から軍事、知的財産権まで広範な分野で対立する現状に懸念を示した。米国内では台頭する中国との新たな「大国間競争」を「新冷戦」と位置づける議論が活発化している。

 ペンス副大統領は昨年10月の演説で「(中国が)国際秩序を自国有利に変えようとしている」と主張。対決姿勢への転換を訴えた。米議会でも対中強硬路線が超党派の支持を集め、香港の反政府デモを支援する「香港人権・民主主義法案」は先月、ほぼ全会一致で採択された。

 しかしトランプ氏は、来年の大統領選再選の実績づくりに米中貿易協議を有利に進めることに執心し、中国との安定的関係を目指す長期的な戦略を描いていない。キッシンジャー氏は「抑制なく対立が進めば、その結末はかつての欧州よりひどくなりかねない」と指摘。対立が世界大戦のような惨事につながりかねないと警告を強めている。 【時事通信社】