強権志向の候補優勢=10日にキルギス大統領選

強権志向の候補優勢=10日にキルギス大統領選

8日、ビシケクで集会に臨む、キルギス大統領代行だったサディル・ジャパロフ氏(AFP時事)

 中央アジアの旧ソ連構成国キルギスで10日、昨年10月の議会選後の混乱でジェエンベコフ大統領が辞任したことに伴う大統領選が行われる。混乱時に収監先から解放され、大統領代行を務めたサディル・ジャパロフ氏(52)が優勢だが、同氏は大統領権限の強化や自国優先主義を打ち出しており、当選した場合は強権的な統治を進める可能性がある。

 大統領選には17人が立候補。昨年12月の世論調査によれば、回答者の64%が「ジャパロフ氏に投票」と答え、他候補は1〜3%にとどまった。ジャパロフ氏は2005年に国会議員に選出され、当時のバキエフ大統領(10年に亡命)の顧問を務めるなどしたが、13年の人質事件に関与したとして服役。昨年10月4日の議会選後に野党勢力が抗議デモを展開し、混乱が生じた際に解放された。

 野党勢力の退陣要求により、ジェエンベコフ大統領は10月15日に辞任を表明した。混乱を受けて首相に就任したジャパロフ氏は大統領代行も務めて一気に権力を掌握。大統領選出馬のために11月に大統領代行の職を辞した。

 選挙戦でジャパロフ氏は「政党システムはわが国に政治的いざこざをもたらしただけだった」と訴え、憲法改正による大統領権限の強化を提案。同氏の意向を踏まえ、10日は大統領制と議会制のいずれを支持するかを問う国民投票も実施される。

 またジャパロフ氏は過去に、キルギス東部でカナダ企業が操業するクムトール金鉱山の国有化を主張。最近のインタビューでも「クムトールのような国家的資産は国民のものだ」と述べ、外資規制強化の考えをのぞかせた。地域に影響力を持つロシアとの関係は重視する姿勢を示している。

 キルギスは1991年の独立以降、大統領が辞任する政変が3回起きたが、強権的な国家が多い中央アジアでは民主化が進んでいるとされてきた。しかし、ジャパロフ政権が誕生した場合、こうした状況が変化することも予想される。 【時事通信社】