独裁打倒10年、乏しい希望=経済難にコロナ禍―北アフリカ・チュニジア

独裁打倒10年、乏しい希望=経済難にコロナ禍―北アフリカ・チュニジア

チュニジアの首都中心部にあるハビブ・ブルギバ通り。かつての革命時には、デモ隊と治安部隊が激しく衝突した=12日、チュニス

 【チュニス時事】北アフリカのチュニジアで約23年続いたベンアリ独裁政権が反政府デモ拡大に伴い崩壊してから14日で10年。中東各地に波及した民主化運動「アラブの春」の発端となった革命の熱気は今や乏しく、経済不振や高い失業率に苦しむ。新型コロナウイルス感染拡大も困窮に拍車を掛け、市民は将来への希望を見いだせないでいる。

 「政治家は政争ばかりで、経済や社会の諸課題を解決する戦略を示せなかった」。首都チュニスのNGOで国内問題を研究するロムダンさんが、革命後の10年を振り返った。自身も当時は不満を抱え、街頭デモに参加。「革命は誇りだが、チュニジアの真の民主化にはまだ時間がかかる」と話す。

 1987年に事実上の無血クーデターで発足したベンアリ政権は、欧州との自由貿易推進などで北アフリカ有数の経済発展を遂げた。一方でイスラム政党の弾圧、秘密警察を用いた言論統制を通じて強権支配を確立。汚職もまん延し市民の不満も強まり、2010年に中部シディブジドで若者が焼身自殺を図ったのを機に、後に「ジャスミン革命」と呼ばれる政変につながった。

 独裁崩壊後は表現の自由や人権重視をうたった新憲法を制定。自由選挙や政党も多数結成され、革命後に民主的な国家構築が進んだアラブ唯一の成功例と評されてきた。

 しかし、失業率は16%を超え、革命前の水準より悪化。経済も低成長にあえぎ、国際通貨基金(IMF)によれば、20年の実質GDP(国内総生産)はマイナス7%に沈む見通しだ。経済難を逃れようと、チュニジアから欧州の玄関口イタリアへの不法入国者は昨年約1万3000人に達し、前年比5倍に増えた。

 チュニジア政府は12日、革命記念日に当たる14日から外出禁止の時間帯を拡大し、集会などの中止を決めた。コロナ禍を理由とした規制強化策の一環だが、市民の不満が一層顕在化する事態にも神経をとがらせているとみられる。 【時事通信社】