中国政府が債務による投資で経済成長を維持する本当の理由

【新唐人2017年6月2日】
黒竜江省政府はこのほど同省最大の鉄鋼および石炭などの国有企業に対し、借金を返済しないまま融資を継続する政策を施行しました。このまま債務による投資で経済成長を持続していけばどうなるでしょうか。専門家に意見を聞きました。

黒竜江省銀行監督管理局の包祖明(ほう そめい)局長は銀行監督管理委員会の定例記者会見で、省内の国有企業155社のうち、経営困難に陥っている鉄鋼業や石炭業などの重要な国有企業に対して、債務を返済していなくても融資を継続する特別政策を施行し支援すると発表しました。対象となるのは同省の鉄鋼業最大手、建龍鉄鋼や同じく石炭業最大手の龍煤(りゅうばい)集団です。

この政策は、融資の期限切れ前に銀行が過去のデータに基づき査定を行い、条件に合った中小企業に対し債務返済せずとも融資を自動継続するか融資期限を延長するというものです。

公開されたデータによると、建龍鉄鋼は2015年に7億元の融資資金を銀行に回収された後、資金難に陥りました。龍煤集団は2013年から赤字となり、2015年末には負債総額が600億元を上回りました。

清華大学経済学部教授 楊斌氏:「実際は多くの銀行がこのようにやっています。企業の経営が良くない場合、貸した金は返さなくてもいいから、利子だけ返せばよいというものです。国有企業はさまざまな関係先から多額の融資を借り受けているため、銀行が貸した金を回収することは不可能です。利子だけを回収し、表面的には不良債権がないように見え、正常であるかに見えますが、実際は危機的状況にあります。今回こうした政策を国が発表したということは、国有企業に譲歩したことに等しい。」

清華大学経済学部教授の楊斌(よう ひん)氏は、貸した金を返さないならまた金を貸すべきではないのに、こうした特殊な政策を制定して状況を支援すれば、企業はさらに経営難に陥り、銀行債務危機をもたらすことになると警鐘を鳴らします。

2008年の世界金融危機の際、中国は債務による投資で経済成長を遂げました。高速道路や空港、不動産を開発するため、地方政府や国有企業は膨大な融資を受けその資金源としました。

労働人口の高齢化にともない生産効率の伸びが緩慢になり始めたことで収入が減少し始めると、中国はさらに多くの融資によって高い成長率を表面上維持してきました。

近年、中国は6・5〜7%の経済成長を維持するために、毎年の債務の成長幅はGDPの15%にも達しており、これは2001年〜2008年の急成長時期の債務レベルに相当しています。

なぜ中国の経済発展は融資に頼らなければならないのでしょうか。

清華大学経済学部教授 楊斌氏:「それはGDPを上げたいからです。中国の経済は政府が主導しているもので、各地の地方政府は銀行の融資や年金などを使っています。金があればGDPが上がり、役人の地位は安泰であり、昇級もできます。GDPがなければ投資もできないし、消費にも追いつけません。とにかく投資をしなければならず、投資には金を借りなければならないのです。」

中国が現在陥っている債務問題はかつての日本の状況と似ていると専門家は指摘しています。長い間信用融資に支えられてきた繁栄が1990年代初期にバブルがはじけ、企業は莫大な借金を抱えることになり、その後数十年間にわたり日本経済の成長は緩慢となりました。

清華大学経済学部教授 楊斌氏:「鉄鋼工場はすでに過剰なのにまた建てるという。道路も過剰なのにまだ作るという。今のところ表面的には投資が活?でGDPも上がっているかに見えるが、このまま続けていけば、生産能力過剰と通貨の膨張を招き、後々大きな禍根を残すでしょう。現在の状況はすでに非常に危険であるといえます。」

北京天則経済研究所研究員の王軍氏は、中国の経済発展が融資によって維持されてきたのにはさらに深い原因があるといいます。

北京天則経済研究所研究員 王軍氏:「政府は経済問題や環境問題を解決しようとは思っていません。経済成長が滞れば仕事が見つからず、国民の不満は高まります。その時、政府は政治的な解決、すなわち治安維持によってストライキや陳情などを押さえつけようというわけです。」

専門家は、広東や江蘇、上海などの経済が発展した地域では近年、ストライキや従業員の権利を求める事件が頻繁に起きているといいます。もしこうした事件が河北や東北三省の大手国有企業の中で発生したならば、政権の根幹を揺るがす可能性があると指摘しています。

新唐人テレビがお伝えしました。               

(翻訳/白白 ナレーター/佐藤 映像編集/李)