『小島慶子 気になるカノジョ』──英国王室の結婚式から考える日本の皇室の未来。個人の自由との両立は可能なの?

『小島慶子 気になるカノジョ』──英国王室の結婚式から考える日本の皇室の未来。個人の自由との両立は可能なの?

古いしきたりも時代につれて少しずつ変わってきたようです。

英国のハリー王子と米女優メーガン・マークルさんが挙式。

英国の伝統に、アフリカ系米国人のルーツを持つメーガン妃の文化的背景を織り交ぜた式は、英王室に新しい風を吹き込んだと話題に。

タレントでエッセイストの小島慶子が、世間の気になる話題に思うあんなこと、こんなこと。

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ハリー王子の心底うれしそうな笑顔が印象的だったイギリスのロイヤルウエディング。晴れてサセックス公爵夫人の称号を得たメーガン・マークルさんはアフリカ系アメリカ人を母親に持つ女性で、離婚歴があり、俳優として働いていました。

11歳のときに、アメリカの洗剤メーカーに「皿洗いをするのは女性だと決めつける内容のCMはおかしい」と手紙を書いて、CMの内容を変更させたことがあるメーガンさん。フェミニストとしての活動もしていた彼女がキャリアを捨てて、古いしきたりの残る英国王室に入ることには賛否両論がありました。

まあでも、本人が好きな人と結婚するのが一番ですから、めでたいことじゃないですか。古いしきたりも時代につれて少しずつ変わってきたようです。

英国王室の結婚式で、史上初めて宣誓の言葉から「(夫に)従う」という言葉を外した新婦は、ダイアナ元妃なのだそうです。当時はかなり批判されたとか。

それを踏襲したのがキャサリン妃とメーガン妃。男女は対等であるべきという価値観は王室にも浸透しつつあるのですね。王位継承権も男性を優先するのではなく生まれた順番で決めるようになりました。

ちなみにエリザベス女王が結婚したときには「(夫に)従う」と宣誓したのですが、「たとえ夫であっても国王が誰かに服従するというのはいかがなものか」という議論になったそうです。

今回の結婚は、英国王室の伝統とアフリカ系アメリカ人の文化の出会い、人種の融合の象徴とも見なされました。結婚式では黒人のゴスペルシンガーたちが歌い、黒人のチェリストがオーケストラとともに演奏し、黒人の司祭も説教をしました。これは、人口の大多数を白人が占めるイギリスのロイヤルウエディングとしては異例のことで、時代が変わったとメディアもこぞって報道しました。

さて、メーガン妃を見て思うのは、日本の皇室でこれは可能かということです。例えば悠仁さまが、外国にルーツを持つ人や離婚歴のある人、エンターテインメントの世界で仕事をしていた人との結婚を望んだら。現在の皇室典範にのっとるなら、未来の天皇は悠仁さまのみ。立場を捨てて恋に生きるわけにもいきません。ロイヤルファミリーであっても、多様化する世の中のありようとまったく無関係ではいられないこのご時世に、日本の皇室はどうなっていくのでしょう。

皇室の存在自体を否定する声もあれば、古いしきたりを変えるべきではないと考える人も。制度ばかりが注目されますが、そこにはたった一度の人生を生きる人々がいます。皇室であることと個人の自由の両立は可能なのか。それを思うにつけ、ハリー王子の幸せいっぱいの笑顔が思い出されてならないのです。

●小島慶子(こじま・けいこ)







タレント、エッセイスト。テレビ・ラジオ出演や執筆、講演とマルチに活動中。現在、日豪往復生活を送る。近著に『絶対☆女子』『るるらいらい 日豪往復出稼ぎ日記』(共に講談社)など。

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