初のトランプ訪中は手のひらで転がした習近平の「おだて勝ち」?

初のトランプ訪中は手のひらで転がした習近平の「おだて勝ち」?

4月の訪米の際は、首脳会談中にシリア攻撃決行という“奇襲”を受けた習主席。そのリベンジを果たした?

11月9日に行なわれた米中首脳会談を、世界は固唾(かたず)をのんで見守っていた。それはそうだろう。世界第1位と2位の超経済大国が、これからの国際秩序をニラんで、がっぷり四つの会談をするのだから―。

では結局のところ、米トランプ大統領、中国・習近平国家主席のどちらが“勝者”だったのだろうか?

トランプ訪中にあたり、中国は破格の厚遇をした。世界遺産・紫禁城を借り切っての夕食会、そして総額28兆円もの貿易・投資契約。これだけを見れば、勝負は明らかにトランプの勝ちだろう。だが、外交ジャーナリストの手嶋龍一氏はこう首を振る。

「確かに皇帝級のもてなしでした。28兆円に及ぶ巨額商談は、トランプ訪中に応える立ちくらみがするような贈り物となりました。米国のトランプ支持層の中核はプアホワイトと呼ばれる低所得の白人層。中国からの巨額商談はプアホワイトの雇用と所得を潤します。でも、あのしたたかな習主席が、見返りもなしにこれほどのお土産を持たせるでしょうか」

例えば、北朝鮮問題。トランプ大統領は、これに先立つ日米首脳会談で「北に最大限の圧力をかける」と豪語していたはずだ。

「米中首脳会談では一転、トランプ大統領の気勢は一気にトーンダウンし、『圧力と制裁は国連決議の範囲で』と主張する習主席の主張に異を唱えようとしませんでした。武力行使というカードをちらつかせ、北に核、ミサイルの放棄を迫るトランプ流の外交は、習主席が切った28兆円の手形の前に、訳もなくはね返された。中国、恐るべしです」(手嶋氏)

百戦錬磨の習主席は、やはりトランプ大統領より一枚も二枚も上手だったのだ。

また、その後にフィリピンを訪問したトランプ大統領は、同国で開かれたASEAN(東南アジア諸国連合)首脳会議でも大きな“失敗”を犯していた。

「それは北朝鮮問題と並ぶもうひとつの懸案事項。東南アジア諸国をめぐる米中の綱引きです」

そう語るのは政治ジャーナリストの藤本順一氏だ。

「もともとASEAN諸国は、TPP(環太平洋経済連携協定)を離脱して2国間の貿易交渉を迫るアメリカへの警戒を深めていました。東南アジアで影響力を強める中国の存在を念頭に、『アメリカが守ってやる』と安全保障を盾にして不利な条件をのまされることを懸念していたのです。

そんななか、トランプはASEAN首脳会議で、中国訪問時と同じように皇帝然とした振る舞いをした。これに東南アジア諸国の首脳はかなり不快感を抱いたと聞いています。結局、東南アジア諸国を中国から引き離すというトランプの思惑は不発に終わってしまいました」

アジアを舞台にした米中の勝負は、トランプ大統領をうまく手のひらで転がした中国の習主席の圧勝だったのかもしれない。

(写真/時事通信社)

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