世界最古の一神教ゾロアスター 聖地、ヤズドに残る“沈黙の塔”とは?イラン

世界最古の一神教ゾロアスター 聖地、ヤズドに残る“沈黙の塔”とは?イラン

撮影:高橋邦典

 イランの内陸、国のほぼ中心に位置する町ヤズド。砂漠に囲まれ、年中を通して気温が高いこの町は、幾つかのゾロアスター教の聖地を擁することでも知られている。町の南端、草木もなく乾ききった荒野の小高い丘の上に、円筒形をした二基の塔がそびえ立つ。「沈黙の塔」と呼ばれるこの建物は、1970年代に政府によって禁止されるまで、ゾロアスター教徒が鳥葬を行っていた葬儀場だ。ゾロアスター教は、火を崇めるために拝火教とも呼ばれるが、火のみならず土や水なども神聖視するため、自然を屍で汚すことを避け、遺体を鳥に与える鳥葬をおこなう。

 夕暮れ時、塔に登って写真を撮っていると、地元の若者たちがやってきた。英語が通じないのでほとんど会話にならないが、彼らが少し離れた岩陰に腰を下ろしたと思うと、風に乗って甘い匂いが漂ってきた。マリワナを吸っているようだ。こんな時間には観光客も来ないし、警察に見つかることもないだろう。若者のちょっとした悪さにはうってつけの場所だ。しかし、すでに風化しているとはいえ、人間の死を扱っていた聖なる場所である。少しばかり複雑な気分にさせられてしまった。

(2014年6月撮影)