米中間選挙 トランプ勝利なら対中貿易戦争で有利に終結も

中国共産党が航空グループ会長を暗殺か “中国共産党が恐れる男”郭文貴氏が告白

記事まとめ

  • “中国共産党が恐れる男”として知られる郭文貴氏は、様々な秘密を握っているという
  • 中国の航空グループHNAの会長がフランスで不審死を遂げたが、その実態は暗殺だと話す
  • HNAにまつわる疑惑は各国の調査対象となっており、口封じとして殺害されたらしい

米中間選挙 トランプ勝利なら対中貿易戦争で有利に終結も

米中間選挙 トランプ勝利なら対中貿易戦争で有利に終結も

不審死した王健氏 Imaginechina/AFLO

 中国共産党に関する様々な秘密を握っており、“中国共産党が恐れる男”として知られる郭文貴氏は、現在米ニューヨークに身を寄せる。どうしても話したいことがある──。そう切り出し、郭文貴氏が語ったのは、フランスで報告された大手航空グループ会長の不審死だった。表向きは事故。だが郭氏いわく、その社長は中国の何者かに暗殺されたのだという。今回も郭氏の「爆料」(暴露)は留まるところを知らない。

 * * *
 日本のみなさんこんにちは。私が郭文貴だ。今回は米中貿易戦争について語りたいのだが、その前にある衝撃的な事件の実態を暴露したい。これは中国共産党と、憎き盗国賊(ダオグオゼイ)どもの醜悪な本質をご理解いただくうえで極めて象徴的な出来事なのである。

 今年7月3日、フランス南部のプロヴァンスにおいて中国の民営大手航空グループ・海航集団(HNA)の創業者で会長でもある王健が死亡した。公式には、教会で写真撮影をしようとした際に高所から足を滑らせて死んだことになっているが、その実態は暗殺だ。

 私は現場に調査チームを派遣した。事件処理をおこなった現地警察官や消防署員、王の死の目撃者らに直接取材して、すでに多くの情報を入手している。ある教会関係者は、1人の人間が王を羽交い締めにして口と首を押さえ、もう1人は足を押さえていたと証言している。王はこうして殺害されたのだ。

 私はさらにアメリカから別の2つの調査チームを派遣し、王が宿泊したホテルをはじめ彼が訪れた様々な場所、殺される前夜に夕食をともにした人など、あらゆる人に聞き取りを行い、より多くの事実を知った。

 王の会社であるHNAは単なる航空グループではない。この私の宿敵である王岐山(国家副主席。習近平の政策ブレーン)をはじめ、中国に巣食う盗国賊どもと極めて関係が深い企業である。HNAの隠れた“業務”とは、腐敗した党高官らの隠し子の処遇や、彼らの汚職やマネーロンダリングの手助けをおこなうことであった。

 過去、HNAは活発な海外投資によって世界にネットワークを広げてきたが、盗国賊どもはこれを利用し、HNAと共謀して私腹を肥やしてきたのだ。もっとも、従来のHNAが盛んに行ってきた欧米企業の株式買収は、中国国内の大手銀行からの借り入れによるものだった。

 明らかになっただけでも約1兆元(16兆円)、実際の負債は2兆元以上にのぼっている(注:中国国内の主要銀行はほぼ無審査でHNAに対して巨額の融資を行い続けたとされる。負債の膨張により、海航集団は2018年に入り経営難に陥っている)。HNAがかつて、渤海金控をはじめとした傘下の企業を通じてコントロールできていた資産は20数兆元の規模にのぼっていた。

 王と、HNAのもうひとりの創始者である陳峰は、中国のインテリジェンス機関である国家安全部が重点的に育成してきた人間だ。生前の王は中国共産党の海外におけるスパイ情報網を担っていた。また盗国賊たちへのカネの流れをアレンジする考案者であり、主要な実行者の1人でもあった。

 HNAにまつわるスパイ疑惑と金銭スキャンダルは、すでにアメリカをはじめ各国の調査対象ともなっていた。王はそれゆえに口封じとして殺害されたのである。彼の死は、中国の海外におけるスパイ情報網と、腐敗官僚たちの利益を守るうえで必然でもあったのだ。

◆人民元はうさんくさい

 本題に入ろう。現在の米中貿易戦争の本質は、貨幣の対決だ。中国共産党は人民元のレートを不当に操作しており、特に中東やアフリカの途上国を対象として、人民元を国際的な決済通貨にせんとの野望を持っている。アメリカ側は、ドルに対する人民元の挑戦が、もはやジョークではなく現在進行形で実施されていることをすでに認識している。

 中国が提唱する一帯一路政策が狙うものは、中国共産党の「赤いマネー」である人民元の国際化だ。第二次大戦終結以来の世界の、欧米中心の金融体制を転換させることである。中国による中東やアフリカ・東欧への盛んな進出は、アメリカが予測した以上のスピードでこの目標を現実化させつつあるように見える。

 だが、実のところ人民元は極めてうさんくさい通貨である。中国政府の為替コントロールによって、ひとまずレート上では1ドルは6.8元ほどであるが、これが価値の実態を反映していないことは誰の目にも明らかだ。

 人民元とは、政治的コントロールを受けた偽りの通貨であって、そんなものが国際通貨としての地位を得ていくことは人類にとっての不幸でしかない。中国共産党は、この偽りの通貨を用いて、世界の経済を中国の利益に合致させるための革命をおこなおうとしている。歯止めを掛けなくてはならない。

 米中貿易戦争について、アメリカが望む結果は以下の3つだ。まず、中国側から人民元は国際通貨を目指さないという言葉を引き出すこと、次に米中両国間の貿易不均衡の解消によって人民元の国際社会における影響力を削減すること、次に中国の金融市場をオープンにさせることである。

 あと3年以内に迅速な対応を取るならば、アメリカによるこれらの目的の達成は可能かもしれない。鍵は今年11月の米国中間選挙だ。こちらでトランプ大統領が信任を得て共和党が勝利すれば、中国との貿易戦争を有利に終結させる目も見えてくる。

 日本の友人たちよ──。中国共産党はもはや、西側先進国のフランスにおいて暗殺を実行して、政治目的を達成できるほどになっている。そして、力を背景に世界の経済体制の転換を図っている。私はその事実を暴露し、みなさんの警戒を促したい。私は戦闘を継続する。一切都是剛剛開始(すべてはまだ始まったばかりだ)。

【かく・ぶんき】山東省出身。国有企業職員を経て、不動産会社オーナーに。政府とのコネを利用して大成功。個人資産は最大時で約180億元(約3000億円)とも。2014年から米国に滞在。2015年1月、親交の深い馬建・国家安全部副部長(当時)の失脚後、中国には戻れなくなった。以後、中国高官のスキャンダルを告発。中国外務省は2017年4月、国際刑事警察機構(ICPO)に国際指名手配を要請。同時期、郭氏が出演した米政府系メディアのネット放送が突然打ち切られ、中国政府の圧力も疑われた。

構成■山久辺参一(ジャーナリスト)

※SAPIO2018年9・10月号

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