中国の銀行はAI審査採用 日本の銀行とは月とスッポン

中国の銀行は融資審査をAIが担当し即座に送金 大前研一氏が日本の銀行との違いを指摘

記事まとめ

  • 中国では個人向けモバイル決済サービスなどフィンテックが急成長と大前研一氏が指摘
  • 利用者は「アリペイ(支付宝)」約5億人、「ウィーチャットペイ(微信支付)」約9億人
  • アント・フィナンシャルはビッグデータで信用度を評価し、AIによる審査だけで融資

中国の銀行はAI審査採用 日本の銀行とは月とスッポン

中国の銀行はAI審査採用 日本の銀行とは月とスッポン

大前研一氏

 中国の躍進が止まらない。中でも成長著しい深センは、1980年に30万人だった人口が、1400万人へと一気に激増。世界的企業がいくつも誕生している。国内では地方格差という問題も起きているが、急成長のスピードは止まる気配はない。大前研一氏が解説する。

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 いま中国では新しい産業が登場し、急成長している。一例は、個人向けモバイル決済サービスをはじめとするフィンテックだ。

 スマホやタブレットPCによるモバイル決済サービスの利用者は、eコマース最大手アリババ傘下の金融会社アント・フィナンシャルの「アリペイ(支付宝)」が約5億人、テンセントの「ウィーチャットペイ(微信支付)」が約9億人に達している。

 利用者は重複しているが、それを勘案しても中国人の大半は両方、もしくはいずれかのモバイル決済サービスを使っているわけだ。その結果、決済だけでなく貯金や資産運用などの金融サービスも両社が手中に収め、従来の銀行がほとんど“無用の長物”と化してしまった。

 たとえば、アント・フィナンシャルが運用している4%を超える高金利のMMF(マネー・マネジメント・ファンド)「余額宝」の管理資産規模は、『ウォール・ストリート・ジャーナル』によると、わずか4年で23兆3000億円に膨れ上がり、世界一になったという。その額は、2位のJPモルガン・アセット・マネジメントが運用するMMFの2倍以上だ。

 さらにアント・フィナンシャルは、小規模企業や個人事業主への融資を一瞬で行っている。「3・1・0」というシステムで、スマホのアプリから融資を申し込むと即座にコンピューターが可否を判断し、数分以内に送金される。

 融資申請の記入に必要な時間が「3」分、可否を判断する時間が「1」秒、そして審査に携わる人間は「0」人。つまり、融資対象の取引状況や経営状況などの情報を蓄積したビッグデータに基づいて信用度を評価し、AIによる審査だけで判断を下しているのだ。融資申請で未だに何枚もの書類にサインして実印を捺さねばならない上、審査に何日もかかる日本の銀行とは月とスッポンである。

※SAPIO2018年9・10月号

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