個人信用度を点数評価する中国、点数低い男はデートも不可

個人信用度を点数評価する中国、点数低い男はデートも不可

北京の路地を行く無人配送ロボット Imaginechina/AFLO

 新たな産業が次々と登場する中国では、モバイル決済サービスの利用者が急成長し、従来の銀行が“無用の長物”と化してしまった。AIによる審査だけで判断を下すため、融資を受けるまでの時間も日本とは比べ物にならない。大前研一氏が解説する。

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 中国の銀行がAI審査を採用できるのは、中国には個人情報に関する規制がないからだ。このため、データベースが使いたい放題なのである。それを活用しているのが、アリペイの信用プラットフォーム「芝麻(ゴマ)信用」だ。

「芝麻信用」は個人の信用度を取引履歴などを用いてポイントで評価するシステムで、「社会的地位・身分、年齢・学歴・職業」「支払い履行能力」「クレジット履歴」「交友関係」「消費行動の特徴」という五つの指標を組み合わせて計算している。最低は350点、最高は950点で、一般に700点以上だとかなり優良な消費者だとされる。600点以上になると、ビザ取得が簡単になったりホテルのデポジットが不要になったりするなどの様々な特典がある。

 今や中国の男性はこのポイントが高くないと、女性にデートしてもらえないという。最近まではマンションを所有しているかどうかで決まっていた男の価値が、「芝麻信用」のポイントで決まるようになったのである。

 このような新しい中国は「タブーなき実験国家」である。IT企業の急成長やフィンテック技術の進化に、北京政府の規制が追い付いていないというか、どこからどこまで規制すればよいかわからなくなって、とりあえず放任している。もちろん、共産党の思想・信条に抵触する可能性がある商売やマンガ、ゲームなどが突如として取り締まりを受ける可能性はあるだろうが、しばらくは深センなどの先端企業が自由に活動して成長を続けていくだろう。

 ただし、その一方では、古い製造業を抱え込んだまま停滞している地方や地域があるし、各地に大々的に建設されたマンションや巨大ショッピングモールが鬼城(ゴーストタウン)化してもいる。

 この先の中国経済は不動産バブルがはじけて崩壊する可能性が高いと思うが、北京政府が理解できない最先端産業は規制されることなく、どこまでも進んでいくだろう。だが、もし規制が厳しくなれば、最先端産業はその膨大な実験成果を伴って海外進出を加速させ、日本やアジアのeコマースやフィンテックを根こそぎ奪い取る可能性も高い。世界第二の経済大国は、今後も新しい中国と古い中国が混在したまま、歪な発展を続けていくのではないか。

※SAPIO2018年9・10月号

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