韓国が「盗撮大国」に 日本人旅行者もホテル、トイレに注意

韓国が「盗撮大国」に 日本人旅行者もホテル、トイレに注意

警察に出頭するK-POP歌手のチョン・ジュニョン(Sipa USA/時事通信フォト)

 10連休となる今年のゴールデンウイーク。久しぶりに国外で過ごすという人は多いだろう。数日程度の手軽な海外旅行先として、韓国の人気は引き続き高い。ところが現地では、女性をターゲットにした卑劣な犯罪が横行し、摘発が相次いでいる。ソウル在住のジャーナリスト・藤原修平氏が報告する。

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 このひと月ほど、あるニュースが韓国で連日報じられている。日本にも進出しているK-POP歌手のチョン・ジュニョンが女性たちとの性行為を隠しカメラで撮影し、SNSのグループチャットを通じて友人と共有していた事件だ。しかも、チャットのメンバーは「人気グループBIGBANGの元メンバーV.I.ことスンリ」や、「実力派シンガーソングライターとして昨年末に日本進出したばかりのロイ・キム」など、今を時めく男性歌手ばかり。彼らの多くが立件されて芸能界引退に追い込まれている。

 それだけではない。4月に入ると “第2のチョン・ジュニョン・チャットルーム”と称されるSNSグループチャットがあることが報じられた。やはり女性たちとの性行為を隠しカメラで撮影し共有していた事件だが、チャットのメンバーには男性歌手や映画俳優、モデルたちがズラリと名を連ねており、韓国社会にさらなる衝撃が走っている。

 一連の盗撮事件で韓国社会が極めて深刻なのは、いわゆる“身内”であってもまったく信用できないところだ。2016年8月に発覚した水泳韓国代表女子更衣室の盗撮事件では、同じく韓国代表に選ばれた男子選手が犯人だった。その選手は2009年から2013年にかけて6回にわたり、万年筆型の小さなカメラを用いて隠し撮りを行っていたという。

 また、昨年9月には、日本でも知られている女優のシン・セギョンと歌手のユン・ボミ(ガールズグループApinkのメンバー)が、人気番組の海外ロケ中、ホテルの部屋でスマホ用補助バッテリーを偽装した撮影装置(盗撮用カメラ)を発見。調べたところ、これを設置したのは番組の撮影スタッフだった。このスタッフは事件発覚前、「俺の補助バッテリーどこいったのかな」などと言い、彼女らの部屋に置き忘れたような素振りを見せていたという。幸いなことに、カメラの発見は設置から1時間後で、韓国全土で知名度の高い2人のプライベートな姿が盗撮されることはなかった。

 盗撮犯のターゲットは身内ばかりではない。今年3月には、モーテルの客室に隠しカメラを設置し、宿泊客のプライベートをネットで生中継していたグループの4人が逮捕された。犯人らは全国10都市にある30か所のモーテルに、803台もの隠しカメラを設置。Wi-Fiを通じてネットに接続し、リアルタイムでカメラの遠隔操作まで行っていた。昨年11月24日から今年3月3日までの約3か月、盗撮動画を有料サイトで生配信し、約700万ウォン(約70万円)を得ていた。隠しカメラはTVや電源コンセント、ヘアドライヤースタンドなどに設置されていた。使用されたカメラは、犯人らが海外サイトを通じて20ドル(2250円)ほどで購入したものだったという。

 女子トイレの盗撮となると、もはや枚挙に暇がないほどだ。昨年8月25日にはソウル大学の女子トイレに隠しカメラを設置したとして、男子高校生が逮捕された。女子トイレに隠れていたところを女性に発見されたため発覚したが、彼の携帯電話からは何枚かの盗撮写真が確認されたという。

 昨年9月には、ソウル市江南区三成洞の女子トイレに隠しカメラを設置した容疑で男が逮捕された。トイレットペーパーの芯の中に小型カメラを入れて棚の上に載せ、それをトイレットペーパーの山で覆うという手口だったが、それがあまりに不自然に見えたので、あえなく発覚と相成った。残念なことに、犯人は近くに住む日本人会社員だった。

 そのほか、今年に入っても仁川警察署の幹部が市内雑居ビルの女子トイレで撮影を行っているのが見つかって通報されたり、軍事境界線のあるパジュ市では飲み屋の女子トイレで盗撮した陸軍兵士が摘発されたりしている。

 こうした状況の中、もはや公共トイレに入れないという女性たちが急増。ある20代の女性はこう嘆息する。

「外出先ではなるべくトイレを使わないようにしていますが、どうしても行かざるを得ない場合、隠しカメラがあるかどうかを徹底的にチェックします。たとえ見つからなくても、本当にカメラが置かれていないのかどうか、自信がありません」

 自治体や交通機関も対応に追われている。今年の旧正月の連休前には、隠しカメラの有無を確かめるため、全国の公共トイレの一斉点検が行われた。韓国中西部の大田市では、地下鉄の駅構内にあるトイレを、カメラ探知機を使い1日2回、点検しているという。

 韓国で隠しカメラの問題が事あるごとに取り沙汰されるようになったのは、2年前の2017年春頃からだ。その前、数年間に隠しカメラの市場規模が急拡大し、性犯罪に利用される懸念が市民団体などから表明された。それが今や国を挙げての大騒動になっている。

 恐らくは想像できないほど多くの隠しカメラが、プライベート空間に設置されているのだろう。韓国を訪れる日本人旅行者も、ホテルやトイレでは注意したほうがよさそうだ。

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