トランプと習近平、G20首脳会談で「お前が来い」の面子合戦

トランプと習近平、G20首脳会談で「お前が来い」の面子合戦

どちらが出向くことになるのか(CNP/時事通信フォト)

 日本が主催する国際会議としては「史上最大規模」となるG20大阪サミット(6月28〜29日)。世界各国の首脳が一堂に会するビッグイベントだが、併せて行なわれる「個別の首脳会談」のほうが重要となる場合がある。今回、期せずして「最大の注目カード」となったのが、世界経済への影響が必至の「米中首脳会談」である。

 貿易戦争が激化し、“新・冷戦”とも言われる事態に突入している米中だが、G20サミットに合わせて両国の首脳会談が開かれることが発表されたのだ。世界が注目する舞台となった大阪では、それをめぐって大混乱が起きているという。

 全国紙政治部記者が注目するのは会談の場所だ。

「トランプ大統領と習近平国家主席は別々のホテルに宿泊することが決まっており、首脳会談はどちらかのホテルで行なわれることになります。しかし、その会場が米中どちらのホテルになるか、いまだに決まっていないのです」

 昨年11〜12月に開かれたアルゼンチン・ブエノスアイレスでのG20サミットでは、トランプ氏の宿泊先を習氏が訪ねて会談が行なわれた。

「外交慣例では、今度はトランプ氏が訪ねる番だが、第3国での首脳会談では“出向いた側が不利になる”というのも外交の定説。“外交交渉はディール(取引)”を信条とするトランプ氏が不利な状況を受け入れるとは考えにくい」(同前)

◆日本は口出しできない

 宿泊先は「直前まで公表されないが、トランプ氏が帝国ホテル大阪、習氏がウェスティンホテル大阪になる予定」(前出・記者)という。双方の宿泊先の選定にも日本は最大限気を遣った。

「トランプ氏が宿泊する帝国ホテル大阪は日本を代表する旗艦ホテルなので、日本にとって最重要国であるアメリカ大統領が使うのが自然。ホテル側も、2017年にトランプ氏が宿泊した帝国ホテル東京から経験豊富な応援部隊を呼んで万全の態勢を組んでいるそうです。

 一方のウェスティンは世界最大のホテルグループが運営する超高級ホテルで、大阪を訪れる中国の要人も頻繁に利用している。格式はもちろん、車で15分と両国の“微妙な距離感”にも配慮したようです」(在阪ベテラン記者)

 ホテル評論家の瀧澤信秋氏によれば、「それぞれの国の政府関係者が予算などの要望を日本側に伝えた上で日本政府がホテルの割り振りをする。海外の首脳を迎える場合、警備上の理由から1フロアすべてを貸し切りにするのが基本で、1年前からホテルを押さえることもあるほど」だという。

 それほど準備を重ねてもこの会談は、“想定外”だった。

「どちらのホテルでやるか決まっていないから直前にならないと準備できない。お互いのメンツがかかるため、日本側が下手に口出しするわけにもいかない。官邸も外務省も対応に苦慮しているし、ホテルや警察はどう警備体制を組むか困惑している」(前出・在阪記者)

◆第3の場所を提供

 外務省関係者がその背景を説明する。

「今回の首脳会談は、習近平氏から電話を掛けて持ちかけたとされる。貿易戦争で中国は守勢に回っているため、トランプ氏と会談したいが、問題は開催する場所。習氏は“今度はホームアドバンテージが欲しい”と思っているだろうが、トランプ氏にすれば、“会ってほしいならそっちが手土産(貿易交渉の妥協案)を持って我が家に来い”という姿勢でしょう」

 かといって、中国も簡単には引き下がれない。「国内向けのメンツ」を守らなければいけないからだ。

 2015年に韓国・ソウルで行なわれた安倍首相と李克強・中国首相による初の首脳会談では、それぞれが自分の宿泊先を会談会場にするよう要求し、互いに譲らなかった。最終的に日本側が折れ、李首相の宿泊先を安倍首相が訪ねて会談が行なわれたが、その後に開かれた別の場所での晩餐会に向かう際、李首相はあえてホテルの裏口から出たと言う。

 これは、李首相が〈自らがホストであることを示した〉(産経新聞2015年11月2日付)と解説された。

 では米中どちらもギリギリまで譲らなかった場合、どうなるのか。

「日本が大阪の別の会場をセッティングするなど、“中立地”を提供しなければならなくなるかもしれない」(同前)

 世界経済の行方を左右する“外交決戦”の舞台となる大阪。議長役の安倍首相もハラハラだろう。

※週刊ポスト2019年7月5日号

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