米大統領選 現地では「どちらも投票したくない」の声

【米大統領選挙】トランプ氏とヒラリー氏、どちらにも投票したくない人が多数か

記事まとめ

  • アメリカ大統領選でヒラリー・クリントン氏のメール問題が再燃している
  • ドナルド・トランプ氏は批判したが、低レベルなバッシング合戦になっているという
  • ある米国人は「トランプとヒラリー、どちらにも投票したくないという人が多い」と話す

米大統領選 現地では「どちらも投票したくない」の声

米大統領選 現地では「どちらも投票したくない」の声

暴言王が大統領になるかもしれない Reuters/AFLO

 トランプかヒラリーか? 世界が注目する次期米大統領がまもなく決定する。ジャーナリストの落合信彦氏は、今回の大統領選をどのように見ているのか? 落合氏が解説する。

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 アメリカと全世界の未来を左右する大統領選が、約1か月後に迫った。この大統領選のレベルの低さについて言及した新著『そして、アメリカは消える』にも、さっそく大きな反響をいただいている。同書では、ヒラリー・クリントンのメール問題が必ず再燃することを指摘したが、早くもその通りになった。

 共和党のドナルド・トランプが、それまで優勢だった民主党のヒラリーを追い上げ、支持率でほぼ拮抗したことがニュースになった。しかしそれは、トランプに対する期待の反映ではなく、ヒラリーが自滅したからだ。

 ヒラリーが国務長官在任中に私用メールアドレスを公務に使用していた問題では、58ページにわたるFBIの捜査記録が公開され、その資料からはヒラリーが機密情報を含むメールに「C」のマーク(Confidentialを意味する)が付けられていたのをまったく理解していなかったことがわかった。彼女の国家機密に対する認識のレベルはそんなものだったのだ。

 さらには「クリントン財団」の大口献金者に便宜を図っていた疑惑も持ち上がった。ヒラリーは高額の講演料でボロ儲けしていたことが批判されていたが、あらためて“カネの亡者”であることがはっきりした。

 そして健康問題である。公式には「肺炎」「暑さによる脱水症状」とされているが、ヒラリーは4年前にも胃腸の炎症で脱水症状を起こして失神している。対するトランプは好機とばかり、献金疑惑を批判するとともに、「ヒラリーはスタミナに不安がある。大統領になる資格はない」とがなりたてている。

 スキャンダルが次々に飛び出す“初の女性大統領候補”と、それを批判する“暴言王”。2人は、政策で戦っているのではない。低レベルなバッシング合戦を繰り広げているだけなのだ。

 見識あるアメリカ人の友人は、「トランプとヒラリー、どちらにも投票したくないという人が多い」と語っている。「3億人以上も人口がいて、あの2人しか人材がいないのか」と嘆くアメリカ国民もいる。

 しかし、それが現実なのだ。『そして、アメリカは消える』で書いた通り、あの国の劣化は極限まで来てしまった。「どちらにも投票したくない」という声はもっともである。だが、現実的にはどちらかが大統領になる。そして待っているのはアメリカの崩壊である。

 アメリカをここまで劣化させた一人が、オバマだ。8年前のちょうどこの時期、アメリカはオバマの「CHANGE」「YES, WE CAN」というキーワードで沸いていた。アメリカの人々はオバマに期待を抱き、大統領に担ぎ出した。

 その後の8年間でアメリカと世界はどうなったか。借金は莫大に増え、大量の不法移民が社会に入り込み、中産階級が大幅に減って格差が拡大した。株価が上がって景気がよくなったというが、それはウォールストリートだけの話だ。

 一般庶民の生活は、確実に8年前より苦しくなった。またオバマは「人種差別をなくす」と言っていたはずだが、逆に白人警官が黒人を射殺し、怒った黒人たちが白人警官を殺害するなど、差別問題はより深刻になっている。

 そればかりか、オバマは「アメリカは世界の警察官ではない」と宣言し、“外交的引きこもり”になった。その結果が、中国とロシアの暴走である。オバマは世界を悪いほうにCHANGEしたのだ。

 オバマはいまや中国からも舐められている。G20首脳会議に出席するため中国・杭州を訪れた際は、大統領専用機のタラップから降りるオバマにレッドカーペットすら用意されなかった。

 オバマの外交を振り返ってみると、舐められる理由がよくわかる。南シナ海を中国の攻勢から守るためにオバマが主導した「航行の自由作戦」は何の実効性もなく、TPPは交渉で合意したものの任期中のアメリカ議会承認すら危うい状況に陥った。

 金正恩がミサイルを花火のように連続で発射し、核実験を強行しても、何も対抗策を打ち出すことができない。特に北朝鮮の核実験は、1月に前回(4回目)の実験が行われたばかりだ。これまでは3年ほどの周期で核実験が行われてきた。それを考えれば、前回からわずか8か月という異例のスピードで5回目が強行されたことは、オバマの弱腰外交がおおいに影響したと言わざるを得ない。

 アメリカは、中国にも北朝鮮にも舐められるようになったのだ。そして、“スキャンダル女王”ヒラリーや“暴言王”トランプに、あの国を立て直す力はない。「大国」アメリカが崩壊寸前とはそういうことなのだ。

※SAPIO2016年11月号

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