韓国との間の火種 2020年、慰安婦問題が再燃か

2020年の慰安婦問題の再燃を危惧 昨年末に憲法裁判所は日韓合意を効力が不明と否定

記事まとめ

  • 韓国出身の作家が、2020年に慰安婦問題が再燃することを危惧している
  • 元慰安婦らによる裁判で昨年12月に韓国の憲法裁判所が訴えを却下したことが理由という
  • 憲法裁判所の見解が広まれば、慰安婦問題が再燃する可能性があるという

韓国との間の火種 2020年、慰安婦問題が再燃か

韓国との間の火種 2020年、慰安婦問題が再燃か

ソウルの日本大使館前に設置されている少女像(時事通信フォト)

 2020年、長年にわたって日韓関係に暗い影を落としてきた慰安婦問題が、再び俎上に載りそうな気配だ。

 慰安婦問題を巡っては2015年に両政府間で「最終的かつ不可逆的に解決する」とした日韓合意が結ばれた。が、日本大使館前に設置された慰安婦像は撤去されず、元慰安婦らを支援する「和解・癒やし財団」は韓国側に一方的に解散させられ、約束が守られないまま膠着状態に陥っている。

 元慰安婦の女性らが、「日韓合意は日本政府への賠償請求を阻み、財産権を侵害するものであり、韓国の憲法に違反する」と訴えた裁判では、昨年12月27日、韓国の憲法裁判所が訴えを却下する判断を下した。『韓国「反日フェイク」の病理学』(小学館新書)の著書がある韓国出身の作家・崔碩栄氏は、この件が今後、日韓の大きな火種になっていくことを危惧している。

「第一報で訴えが却下されたと聞き、これで最悪の事態は避けられたと安堵したのですが、まったく違っていた。報道を精査すると、日韓合意は、書面の交換や国会の同意がないので効力が不明であり、被害者の権利が侵害されたとは言えないから、訴えを却下するという見解を憲法裁判所は示している。つまり、日韓合意を効力が不明として否定しているのです」

 裁判では元慰安婦らが「日韓合意は違憲」だと訴え、それが却下されたのだから、憲法裁判所は「合憲と判断した」と勘違いした人は多いはずである。NHKでさえ、12月27日に「慰安婦問題の日韓合意は合憲 韓国憲法裁判所」というニュースを誤って流し、後に訂正したほどだ。

 実際は、日韓合意は無効で被害は起きていないという理由で韓国憲法裁は原告の訴えを退けた。

「憲法裁判所が判断を避けることは予想していましたが、言う必要の無いよけいな見解をわざわざ公表しているのです。『書面の交換や国会の同意がないので効力が不明』と言いますが、外交交渉の中身まですべて国会で審議するなど、現実にはありえません。北朝鮮に対する非核化交渉でも、どこまで譲歩するかを国会で審議したりしないし、約束を文書にしたりしない。無理のある理由と言わざるを得ない」(崔氏)

 外相同士、トップ同士が会談し約束したことを「効力が不明」と否定するのでは、外交は成り立たないはずだ。効力が不明と言うが、日本が「和解・癒やし財団」に拠出した10億円から、元慰安婦の生存者47人のうち34人が、遺族は58人が支給金を受け取ったという。これも無効というのだろうか。

 しかし、憲法裁判所がこうした見解を示した以上、その影響は計り知れない。

「今、韓国の世論は、18歳まで選挙権を与えることの是非に関する議論が盛んで、実は慰安婦問題はそれほど注目されていません。だから、韓国人の多くは『訴えが却下された』とだけ認識し、憲法裁判所の見解についてまで知っている人は少ないと思います。しかし、これから徐々に広まり、この問題が再燃する可能性は高いと言えます」(崔氏)

●取材・文/清水典之(フリーライター)

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