トランプが籠城を続ける理由は「借金取りと訴訟が怖いから」という仰天証言

トランプが籠城を続ける理由は「借金取りと訴訟が怖いから」という仰天証言

久しぶりに公の場に現れても表情は険しいまま(EPA=時事)

 トランプ大統領は、6日ぶりに公の場に出てきたことがニュースになるほど、このところ沈黙を守っている。まるでホワイトハウスに籠城して、決して明け渡さないと無言の威嚇をしているようだ。ニューヨーク在住ジャーナリスト・佐藤則男氏は、ある人物からその理由を推察する有力な説を聞き出した。

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 その男を筆者はひそかにMr. Wisdom(ミスター知性)と呼んでいる。名門イェール大学の出身で、プライドが高く、普段は無口である。有名な監査法人の共同経営者で、様々な大手企業の経営に通じている。人脈も広く深い。もちろん、職務上知った企業の内部情報は決して漏らさない。たまに筆者の年金投資にアドバイスをくれるが、情報源が何であるかはこちらも聞かない。行きつけのレストランでいつも顔を合わせるので親しくなり、今では電話で雑談をするまでの仲になった。ただし、レストランで会っても、こちらから話しかけない限りはむっつりと黙って食事を口に運ぶだけである。いつも思索の海に沈んでいるような難しい顔をしているので、ひそかにMr. Wisdomと名付けたのである。

 彼はごりごりの共和党支持者だ。産業界には共和党支持が多いから何も不思議はない。コロナのせいで、なかなかレストランで会うことができないので電話してみた。聞きたかったのは、トランプ氏が大統領職にしがみついて離れようとしないことをどう見るか。彼は開口一番、「では、あなたはバイデンに何ができると思っているのか?」と反問してきた。少なくともバイデン政権が誕生することにはうんざりしているようだ。

 それからMr. Wisdomはしばらく沈黙して、突然、「ミスター佐藤、カネ、カネ、カネなんだよ!」と3度「Money」を繰り返して強調した。どういうことか?

「あなたはMBA(経済修士)だからわかるはずだ。甘やかされて育った人間というのは、カネの問題で天国にいるような心境になったり、逆にパニックに陥ったりする。トランプという男はその典型だ。いま彼が大統領職にしがみつこうとするのも、つまりはカネの問題があるからだ。大統領でいればカネがいくらでも回ったから天国だった。ところが、いまホワイトハウスを去れば地獄に落ちる。そう簡単には手放せない役得なんだよ」

 珍しく饒舌である。何か知っているのだろうとピンときた。もう少し話を促すと、とても興味深いことを語った。

「トランプは自分の事業で10億ドル(約1000億円)以上の借金がある。年内に返済期限がくるものだけでも4億ドル以上ある。資産は32憶ドルあると言っているが、ほとんどが不動産だ。トランプのことだ、帳簿上かなり膨らませて過大に評価しているだろう。だいたい、そんなものは市場の変化で増えもすれば減りもする。売ってカネにするまで本当はいくらの価値があるかわかったものではない。彼の不動産は簡単には売れないものが多い。トランプタワーなど、よほどディスカウントしないと売れないだろう。そして現金は乏しい。4憶ドルをちゃんと返済しようとすれば、資産売却は避けられない」

 Mr. Wisdomのことだから、具体的な情報をつかんで話しているのだと思うが、情報源は聞かないのが暗黙の了解だ。さらに彼は、トランプ大統領の窮地を解説した。

「税金の問題は刑事事件になる可能性もある。すでにいくつかの捜査が進んでいるが、そもそもどんなに節税をうまくやったとしても、税金をゼロにするなんてできるはずがない。さらにセクハラなどカネと関係のない訴訟も含めると1000件以上の法的問題を抱えているとされている。今はホワイトハウスにいるから逃げ回れるだろうが、ホワイトハウスを出れば、毎日のように借金取り、弁護士、裁判所から連絡が入って、とても我慢できない不愉快な状態に落ち込むことが確実だ。他人のカネでビジネスを広げ、借金を返さなくても平気だったトランプは、大統領になって国民のカネさえ自分のもののように自由に使った。彼にとって大統領でいることは非常に重要なのだ」

 そして最後に、「トランプが再選されなくてアメリカ国民はほっとしている」と付け加えた。共和党支持なのに、なぜトランプ氏には厳しいのか聞くと、「私が支持しているのは共和党であってトランプではない。共和党はそんなに馬鹿な党ではない」と答えた。

 Mr. Wisdomの話にはエビデンスがない。税金の捜査や訴訟の件など一部は報道されている話と一致するが、本当にトランプ氏の事業が火の車で、訴訟の山に苦しんでいるかは確認できていない。とはいえ、あまりにも荒唐無稽に見える法廷闘争や、ホワイトハウスに籠城して一歩も出てこない様子を説明する有力な仮説にはなるのではないか。

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