日本と韓国「コロナ対策」で比較 韓国流感染防止策は過去のものに

日本と韓国「コロナ対策」で比較 韓国流感染防止策は過去のものに

日韓のコロナ対策をデータで振り返る(写真/EPA=時事)

 新型コロナウイルスの発生当初、韓国は感染対策で「世界をリードする」と豪語した。朝日新聞元ソウル特派員でジャーナリストの前川惠司氏が解説する。

「2003年のSARSで多くの犠牲者を出した韓国は、コロナ対策として初期段階からPCR検査を大量に実施し、スマホの位置情報やクレジットカードの利用履歴を用いて、感染ルートを徹底的に追跡しました。

 プライベートの移動先が明かされて不倫がバレるという“悲劇”もあったが、第1波の感染拡大阻止は成功し、文在寅大統領は韓国流の感染防止策を『K(KOREA)防疫』として大々的に宣伝しました」

 日本のワイドショーは韓国の「ドライブスルー式PCR検査」の映像を何度も流し、「韓国を見習うべき」と大合唱した。文政権が日本に検査キットの無償提供を検討しているとも報じられた。

 第2波では、欧米ほど感染が拡大しなかった日韓だが、第3波の様相は異なった。日本と同様に韓国でも高齢者に感染が拡大し、ソウルで重症患者向け病床の空きが4床(12月18日時点)になるまで追い込まれた。

 重症者対応病床数は、日本の3575床に対し、韓国は543床で、人口比で換算しても日本のほうが多い。

 10万人あたりの死者数は日本2.3人に対し、韓国が1.3人と下回るが、10万人あたりの重症者数は日本0.47人に対し、韓国は0.53人。数字の比較では五分五分で、世界的には両国ともかなり優れている。

 PCR検査の1日あたり最大検査能力は、日本の約10万9000件に対し、韓国は約7万件。人口比では韓国が上回るが、その差は縮まっている。

「K防疫の栄光」は韓国国内では過去のものと受け止められているようだ。

「韓国では12月中旬からPCR検査が誰でも無料で受けられるようになったが、ソウルでは3時間待たされた挙句に、人数オーバーで検査を受けられない人が続出しました。全国民を検査するのに471日かかるとの報道もあり、K防疫を信奉していた国民から悲鳴が上がった」(韓国・漢陽女子大学助教授の平井敏晴氏)

 国民への支援策は規模が大きく異なった。

「日本は全国民に10万円ずつ給付金を配ったが、韓国は世帯別の給付で、ひとり世帯は40万ウォン(約3万6000円)、4人以上の世帯は100万ウォン(約9万円)と、金額は日本よりはるかに少ない」(前川氏)

 コロナが経済に与えた影響はどうか。

「日韓とも失業率はさほど変わらないが、韓国では都市部の飲食店は夜9時までの営業で、5人以上集まると約27万円の罰金を科されます。自粛ベースの日本より強制度が高い」(平井氏)

 両国とも、経済の落ち込みによる自殺者の増加も心配される。

「コロナ以前から韓国では自殺者の多さが社会問題化していましたが、韓国では、昨年1〜10月に1万3000人以上自殺しており、人口比で日本を上回ります。第3波で自殺者がさらに増加することが懸念されます」(前川氏)

 収束のカギを握るワクチンの確保では、日本は英米製薬3社と計1億4000万人分の供給について契約、基本合意に至っているが、韓国はその5分の1以下にとどまっている。

「文大統領は、人口の9割に相当する4400万人分のワクチン確保を公言していたが、実際に政府が契約できたのは12月中旬時点で2600万人分。現地では日本のワクチン確保情報が盛んに報じられ、韓国政府の見通しの悪さに落胆が広がっています」(平井氏)

 両国とも年末年始にかけて確保ペースを上げているが、今後のコロナ対策に大きく影響するかもしれない。

※週刊ポスト2021年1月15・22日号

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