数日でウクライナ難民受け入れのシステムを構築、なぜドイツではスピーディーな対応ができたのか

ドイツが避難した全てのウクライナ市民を受け入れることを発表 スピード感に驚がく

記事まとめ

  • ドイツが軍事侵攻を受けて避難した全てのウクライナ市民を受け入れることを発表した
  • 発表から数日でシステムが出来上がっており、現地在住の日本人が驚いている
  • もともとドイツは移民が多く、ドイツ社会は人道支援に積極的だという

数日でウクライナ難民受け入れのシステムを構築、なぜドイツではスピーディーな対応ができたのか

数日でウクライナ難民受け入れのシステムを構築、なぜドイツではスピーディーな対応ができたのか

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ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続き、ウクライナでは多くの一般市民が被害を被っている。このような状況の中、ドイツ政府は3日までに軍事侵攻を受けて避難した全てのウクライナ市民を受け入れることを発表。現地メディアでは、鉄道などでドイツ各地に向かう難民らの姿が映し出されている。

 「受け入れ発表から数日。すでに避難してきた人たちが安心できるシステムが出来上がっているドイツ政府のスピード感に驚きました」そう話すのは、現地在住の日本人だ。

 

 受け入れ発表をしてから1週間弱。ドイツ各州では行政による難民ヘルプ用のHPと電話番号が開設され、難民がドイツに入った後、どのような手続きを踏めばいいか明確に分かるようになった。具体的にはビザの必要性の有無といった手続きに関することから、滞在先の確保に至るまで、「到着したはいいものの今度どうすればいいのか…」という不安をできるだけ抑えられるようになっているのだ。

 ほかにも主要駅では難民専用の窓口が開設され、そこでは早朝から深夜まで心理的なケアや今後のアドバイス、宿泊施設の案内が行われる。電話でも窓口でも、現地語が話せる人が対応。ボランティアで対応に当たっている人も多いようだ。

 また行政だけではなく、ボランティアをしたい側の人に対する対応もスピーディーだった。難民ヘルプ用のHPなどが開設されたタイミングで、宿泊場所として自宅などを提供できる人の受付HPも設置。ボランティアをしたい人が路頭に迷わない仕組みも素早く出来上がった。

 さらにドイツ国民が難民を受け入れる体制構築も早かった。政府の対応も早かったがそれ以前に難民が逃れてくる可能性があると知ると、主要駅では「うちに泊まれる」と書いたプラカードを持つ人の姿が見られ、積極的に難民を受け入れた。また政府のシステムが構築されてからも、保育園や学校を通じて各家庭に「困っている難民がいたら連絡をするように」という内容の連絡が届き、連絡先などが詳細に書かれていた。

 Facebookも活用され、地域ごとに作られたグループでは「ウクライナから来てハウスクリーナーなどの仕事を探している」「母親と子どもを受け入れてくれる人はいないか」という情報が書き込まれている。こういった投稿に対しては多くの人が反応し、仕事を提供したり、宿泊先を一緒になって探したりしているようだ。

 しかしなぜ、ドイツではここまで素早い対応ができるのだろうか。

 「ドイツはすでに多くの難民を受け入れた過去があるからだと思います」。こう話すのは現地のドイツ人女性だ。

 ドイツは2015〜2016年にかけ、シリアや他の中東から約90万人の難民を迎え入れた。難民受け入れに対して、当時はドイツ国内でも賛否の声があったが、「歓迎する」というプラカードを持って駅で待っていた人たちや難民をホームステイさせた人たちの姿を見て、当初は反対していた人が心を打たれたようだ。またその当時の経験があるため、政府も難民を受け入れるに当たってまず何が必要なのか分かっている。同時にすでに難民をケアしたことのあるボランティアも多いため、「最初に現地の言葉が話せる人を集めることが必要」など、現場で必要になることをすぐに理解できるのだ。ボランティア同志のネットワークも構築されており、スピード感を持って必要な人集めなどの対応ができる。

 ただこういった対応がすぐに可能であることは、国民の意識も関係しているようだ。前出のドイツ人は「基本的にはドイツ社会は人道支援に積極的です。もともとドイツは移民が多いこともあり、周りに移民の友人などがいて他人事に思えないという気持ちもあるのかもしれません」と国民の感情を分析した。

 現在、ドイツには4万人を超える難民がウクライナから逃れてきていると言われている。ボランティアで難民家族を受け入れた人は、彼らに食べ物を提供したり別の人から渡された洋服などを提供したりして、できるだけ安心できる雰囲気を作っているようだ。だが「夜になると怯えている様子が分かり、見ていると涙が出そうになる」と難民を受け入れたという人は語る。

 とはいえ、難民がいる状況は決して好ましいものでなく、本来は自分の国で安心して生活できることが一番だ。1日でも早く平和な日々が戻ることを祈るばかりだ。

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