ほくそ笑む金正恩。韓国が首脳会談前に「腰くだけ」

ほくそ笑む金正恩。韓国が首脳会談前に「腰くだけ」

金正恩(キム・ジョンウン)氏

今月27日に北朝鮮の金正恩党委員長と韓国の文在寅大統領との首脳会談が予定される中、北朝鮮の人権問題を巡り、韓国側が「腰くだけ」ぶりを見せている。

人体を「ミンチ」に

韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相は4日の記者会見で、深刻な状況にある北朝鮮の人権侵害問題には一貫して「強い態度」で臨むと述べたが、今月末に予定されている南北首脳会談で文大統領は北朝鮮の人権問題を取り上げる可能性は低いと述べたのだ。

北朝鮮の核問題を解決することが、国際社会と周辺国の緊急の課題であるということに、異論を差しはさむ余地はない。一方、金正恩氏の核開発と切っても切り離せないのが北朝鮮国内の人権問題だ。

金日成主席の時代から続く北朝鮮の国家的な人権侵害は、世界的に非難の的となっている。たかだが、韓流ビデオのファイルを保有していたという容疑だけで、女子大生を拷問し、悲劇的な結末に追いやる人権侵害に、国際社会は厳しい目を向けている。

祖父や父と同様、金正恩氏もまた、残忍な恐怖政治を主導してきた。2013年には、叔父の張成沢(チャン・ソンテク)氏を「犬にも劣る醜悪な人間のゴミ」と罵りながら処刑した。2015年の春には玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)人民武力部長(国防相)を人体が「ミンチ」になってしまう「高射銃」で処刑した。2017年には異母兄である金正男氏をマレーシアで猛毒の神経剤VXで暗殺した。

このような行いにより、今や国際社会から「人道に対する罪」を問われつつある金正恩氏が、「フツーの国家指導者」として欧米や日本から認められる余地はもはやない。本人もそのことはよくわかっているはずだ。この絶望感が核・ミサイル開発に突っ走った一つのきっかけだと筆者は見る。

そして、核問題と違って人権問題は取り引きできない。北朝鮮が本当に核兵器を放棄すれば、たとえば韓国や中国は何らかの対価を差し出すかもしれない。核放棄を条件に、米国がある種の取り引きに乗る可能性もある。しかし、すでに行ってしまった人権侵害、犯してしまった虐殺の事実は消すことができない。金正恩氏は、いつまでも「人道に対する罪」を問われ続ける可能性が高いのだ。

北朝鮮が、南北首脳会談や米朝会談を前に人権問題を追及されることにナーバスになっているのは、この間の報道からもわかる。

トランプ米大統領は、金正恩氏による米朝会談の要請を受け入れる前、脱北者らをホワイトハウスに招き北朝鮮の人権状況を聞き取った。また、同氏はその場で、中朝国境での北朝鮮女性の人身売買を自分が「やめさせる」とまで言った。

トランプ氏が米朝会談の意向を示して以後、北朝鮮メディアは連日のように「人権問題」に関する論評を掲載している。これは、トランプ氏に対して「会談で人権問題を取り上げるな」というメッセージだろう。

仮に米朝首脳会談が開かれたとしても、トランプ氏が北朝鮮の人権問題に言及するかどうかは不明だ。そもそもトランプ氏にどれほどの人権感覚があるのかどうかも疑わしい。

だからこそ、文在寅大統領は金正恩氏の人権侵害に対してなんらかのメッセージを送るべきだが、伝わってくるのは韓国側の腰くだけぶりだ。

人権問題を取り上げないと表明した文氏の姿勢に対して、金正恩氏はほくそ笑んでいるだろう。

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