南北経済協力に期待をかける北朝鮮の貿易関係者

南北経済協力に期待をかける北朝鮮の貿易関係者

閉鎖される前、開城工業団地に進出した韓国企業の工場で働く北朝鮮労働者(韓国統一省提供)

北朝鮮の金正恩党委員長との南北首脳会談に臨むため、18〜20日に訪朝した韓国の文在寅大統領には、サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長、SKグループの崔泰源(チェ・テウォン)会長など、韓国財界関係者18人が同行した。

会談後に発表された「平壌共同宣言」は、南北の鉄道、道路の連結、現代化工事、開城工業地区と金剛山観光事業の正常化、西海経済共同特区、東海観光共同特区の造成など、南北経済協力にも多く言及している。

中国に駐在する北朝鮮の貿易関係者は一連のニュースに接し、今後の南北経済協力の拡大に大きな期待をのぞかせたと、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

「同僚たちと南北首脳会談の様子をネット中継で見守り、歓声を上げた」と述べた中国・丹東に駐在する北朝鮮の貿易関係者は、今までの苦境についてこのように述べた。

「過去数年間、朝鮮(北朝鮮)の貿易は経済制裁で行き詰まり、外国企業の投資も遮断された。わが国(北朝鮮)の経済は、一寸先は闇だった」

そのような状況で飛び込んできた韓国の財界人の北朝鮮訪問に、この関係者は興奮を隠しきれないようだった。

「何よりも喜ばしいのは、サムスン、LG、現代自動車など大企業トップをはじめとした財界人が平壌を訪れたことだ。南朝鮮(韓国)の大企業が北南首脳の会談に特別随行員として平壌を訪れたということで、北南経済交流の展望が開けるかもしれないと見ている」

北朝鮮で韓国製品の輸入、販売、所有などは禁止されているが、平壌では、そこそこの暮らしをしている人なら韓国製の電化製品を使っており、サムスンのこともよく知っているのが実情だ。

貿易関係者は、兄貴風を吹かせ何かと口うるさい中国に代わり、韓国が大々的な経済協力をしてくれることへの期待をのぞかせた。

「朝鮮で生産されている『平壌』『アリラン』などのスマートフォンやタブレットPCは、中国から輸入した部品を組み立てるが、中国製の半導体は価格が高い割には質がよくない。サムスン、LGなど南朝鮮企業が朝鮮に入ってくれば、より安い部品でよりよい製品を組み立てられるようになるので、経済も発展し、人民の雇用も増えるだろう」

丹東郊外の東港に駐在する別の北朝鮮貿易関係者も、同様の期待を見せている。

「わが国は石炭などの鉱物資源を安値で中国に売り、わずかばかりの外貨を得てきたが、南北の経済協力が進めば、南朝鮮が中国の何倍もの値で石炭を買ってもらえることに気づいた。同じ民族同士で助け合うために、南朝鮮との貿易の道を開かなければならない」

ただ、これは「捕らぬ狸の皮算用」と言えよう。韓国は需要の9割以上の1億3146万4000トンの石炭をオーストラリア、インドネシアなどから輸入している(2017年、大韓石炭協会調べ)。

一方、中国が北朝鮮から輸入した石炭の量は最も多かった2012年で約1187万トン。韓国の年間需要の1割程度だ。この量ならば韓国が購入することも可能だろうが、北朝鮮産の石炭は、環境基準に適合しないとの理由で中国から送り返されることがあるほど質が悪く、果たして韓国で使用できるのか疑問符がつく。

それよりは開城工業団地の再稼働の方が、より現実的と思われる。

開城工業団地は、2004年に南北経済協力事業として韓国が北朝鮮に造成し、多くの韓国企業が進出していた。しかし韓国の朴槿恵前政権は2016年2月、北朝鮮の核実験などに対する制裁として操業停止を決定。北朝鮮側は資産のすべてを没収する報復措置を取り、現在まで閉鎖状態にある。

「今回の南北首脳会談の結果、開城工業団地が再稼働することになれば、わが国の経済は確実に息を吹き返す。しかし、中央では非核化の決断を下せずにいるため、経済制裁が解除されずにいる。それがもどかしい」(貿易関係者)

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